評価:★★★★☆ 4.1
これは、一人の脇役が自分の役割を放り出し竜騎兵(ドラグーン)を目指す物語。
剣と魔法のファンタジー世界で脇役ルーデルに与えられた役割は、悪徳貴族の馬鹿息子、主人公の引き立て役というもの。しかし、幼少の頃に見たドラゴンをきっかけに、ルーデルはクルトア最強の騎士ドラグーンを目指してしまった。
脇役の役割という運命に逆らい、まるで真人間のようになってしまったルーデルを待ち構える数々の試練。そして転生者である、主人公であるアレイストの存在。
ドラグーンを目指したルーデルに待つ運命とは――。ルーデルよ、運命や役割を殴り飛ばしてドラグーン目指して突き進め!
※MFブックス様にて書籍化しております。
一巻から三巻まで発売中!
雰囲気:未登録
展開:ハッピーエンド
あるファンタジー系恋愛SLGの世界。 その世界に転生した「誰か」が物語では本来『有り得ない』事をしたとしよう。 …そうしたらどうなるか? 「物語の踏み台になるハズの悪役」は理想の騎士『ドラグーン』を目指し「物語で定められた」運命に抗う未来を選んだ。 世界そのものが敵、運命は主人公に「死ね」と言う。 これは…それでも足掻き続け、後に伝説となるルーデルの物語。 ま、脱線とかグダグダ要素多いけどね。
これは少年が運命に抗う物語空を駆けるドラグーンを見た、それだけで主人公は定められた運命に抗い始める。馬鹿で愚直で夢に向かって猪突猛進するルーデルの姿はやはり元脇役で、全てに好感が持てるわけではありません。しかしそれでも成長をして一歩ずつ夢へと進んでいる姿は、運命を変えるなんてことは意外と些細なことかもしれない、という事を教えてくれるようですこの作者の書いた別の作品「セブンス」もそうなのですが、シリアスで始まったと思ったらいつのまにかギャグになっているんです。しかしシリアスで始まったからこそギャグで主人公たちが楽しそうにしている姿は素直に笑えますし、ギャグが多いからこそシリアスには泣かされてしまいますまた、この「ドラグーン」の『世界』での本当の意味での主人公であるアレイストの成長も見ものです……それにしてもこのアレイスト、エ○ハ○ト感がすごい
たまたま目に止まって読み始めたら、いつの間にか最後までいっき読みしてしまっていました。ストーリーは、ゲーム的異世界転生物の脇役が運命に抗うという一見ありがちな物。しかしシリアスとギャグのバランスの良さがこの作品をとても読みやすくし、少年マンガ顔負けの胸熱展開と稀に出てくる感動シーンが読者に勢いを与えてくれます。心が疲れたときに読めば、自然とやる気が湧いてくる、そんな小説です。
主人公のルーデルは稀に見るバカです。彼は疎外され、軽侮され、親からも愛されない子供時代を過ごします。そのまま育てば、鈍感でがさつで他人の痛みを知らない、生まれだけは大貴族の嫡男なので、厄介な、そういう青年に育っていたでしょう。その世界に生まれた「英雄」の敵役として、世界設定がそうなることを仕組んだままに。しかし彼は少年の日にただ一度だけ竜騎兵が空を駆けるのを見て、竜騎兵になりたい、と強く思うようになります。その思いが、夢が、少年の生き方を変え、それによって世界は予定調和から少しずつ外れていきます。世界のすべてが彼に悪逆な敵役になることを望むのに、ただひとつだけの夢が、少年を救い、世界を変えてゆくのです。ルーデルは私が知る限り、最もひたむきな主人公です。努力、友情、そして夢が世界を変えてゆくこと。この小説を読み終えたとき、私たちは彼の生き方から何か大事なものを教えられているはずです。
物語には「咬ませ犬」がいます。主人公のルーデルは、そんな「咬ませ犬」の宿命を持っています。彼は、この「物語」で、「咬ませ犬」として生きなくてはならない宿命を持って生まれました。でも、ルーデルは、目指すべき目標、叶えるべき未来を夢見てしまったのです。それが「ドラグーン」、人々の為に闘う、誇り高き竜騎士。「咬ませ犬」の宿命は、それを許しません。ありとあらゆる試練と障害が、ルーデルの身に降りかかります。そんな「物語の咬ませ犬」の宿命と戦い、夢を追い、夢を叶えようと抗う、「決められた筋書きへの反逆」が、この話の骨子です。何よりも強い「宿命」に抗うルーデルに幸あれ。
少年は、竜に憧れ、夢を抱いた。…その日から「世界」は敵になった。在るべき形、決められた結末へと戻すために少年の行く手を阻む。だが、どれだけの障害があろうとも、理不尽に巻き込まれようとも、彼は歩みを止めない。ひたすら真っ直ぐに駆け抜けて、やがて彼は夢を手にする。ー しかし、「世界」は彼を許さない ー「世界」は彼に最終決戦を挑む。「世界」は彼を意地でも殺そうとする。多勢に無勢の中、孤独な戦いを要求する。彼の生命も風前の灯火となった。でも、彼はもう独りじゃない。友がいる、見守る大人たちがいる、そして、彼を愛する女性たちがいる。彼を救おうと立ち上がる。物語は収束する。果たして彼は「世界」に打ち勝ち生き残ることができるか?その闘いを見逃すな!!
物語の初期に主人公を目立たせる『踏み台』となるはずだったボンクラ貴族が、竜を知ってそれを駆るドラグーンを目指すように変わってしまうお話。 無論変わるのは彼だけではない。彼に引きずられるように彼を取り巻く皆も変わっていく。 それは無論、本来の『主人公』でさえも。 いまどき珍しい『夢にひた走る』、『更正』、転生モノへのアンチテーゼといった複数のテーマがボヤけずしっかり書かれている物語が見事です。 そしてなんといってもしっかりと描写された登場人物『達』がすばらしい。 いわゆる『捨てキャラ』なんていません。みんながみんなそれぞれに考えて行動していることが読み取れます。 最近の特にネット小説では、主人公やヒロインはともかく他の登場人物が薄く書かれることが多く、主人公についてるだけでまるでなにも考えてないかのようなキャラが多い。 --なんてことを考えたことがあるあなたにお勧めです。
ひねくれ型主人公になるはずが、ひゃんなことから、ただひたすらに真っ直ぐに夢を追いかけ続ける主人公の成長譚。 どんな困難や苦労があろうと、ひたすら真正面からぶつかり続ける主人公の生き様が、快い爽快感を与えてくれる。 また、主人公を取り巻くサブキャラクターが丁寧に描かれており、貴族や王族のありがたなど、創作の中の現実が丁寧に描かれているのも魅力の一つ。
彼は、馬鹿である。空を飛ぶ竜騎士、ドラグーンになりたい馬鹿である。馬鹿だから愚直に、正直に、真剣に、ドラグーン目指して努力する。世界は、彼を許さない。父親に、弟に、ドラグーンに、彼を嫌悪させ、貶める。『世界的に正しい主人公を』活躍させる為に。妨害して、妨害して、妨害して、妨害して、妨害する。それでも、それでも彼は諦めない、折れない、挫けない。馬鹿だから愚直に、正直に、真剣に、ドラグーンを目指す。……ちょっと斜めにずれている感もしないではないが。これは、世界にそれと知らずに喧嘩を売って、あらゆる妨害をはね除けてドラグーンになる夢に邁進する一人の突破(=馬鹿)者の物語。読んでみて損は無いですぜ、お客さん。
この物語は、竜とともに戦場を駆け巡るドラグーンという地位を目指す少年の話。彼は家族から嫌われ、また周囲からも同じようになっている。ドラグーンという地位はそう簡単になれることではない。 それでも、彼はまっすぐに自分の夢のために向かっていく姿がとてもまぶしい。彼のことを馬鹿にする連中がいても、本人はまったく気にしない。 彼は、ひたすら自分の夢を追いかけていく。 たとえ、この世界がゲームの設定であったとしても、彼は決してあきらめることを知らない。