評価:★★★★☆ 4.1
【第6回ネット小説大賞 受賞作】
『菜の花工房の書籍修復家 大切な本と想い出、修復します』というタイトルで宝島社から刊行されました。なお、書籍版はWeb版から大幅な改稿を行っております。高三の夏、菜月は自分の進路に悩んでいた。
自分は何をやりたいのか。その答えを見つけられず、焦る菜月。
そんな彼女が出会ったのは、一人の年老いた職人だった。
職人が見せる魔法のような技術に胸を躍らせた菜月は、彼の工房の門を叩く。そして季節は廻り、春――。
桜の舞う市立図書館の一室で、菜月の新しい生活は始まった。三峰菜月、18歳。一人前の古書修復家を目指して、ただいま修行中!
※挿図が入ることがあります。
※本作に登場する市名ならびに施設名は架空のものです。
※アルファポリス様、カクヨム様にも掲載中。
※改稿版をアップロードしました。(2017/7/31)
話数:全26話
ジャンル:仕事もの
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:全年齢対象
書物を手にした経験が、大抵の人にはあるだろう。親からもらった文学全集、子供の頃読んでいた絵本、小遣いで買ったコミック……どの本にも思い出があり、どの本からも懐かしさが甦る。 だが、それもその本が保管されていればこそだ。本は生き物だと、この小説の中の登場人物は口にする。人に読まれ、空気に晒されていく内に、どんな本でも歳をとり、劣化は免れなくなっていく。 本に書き込まれた情報が、夢が、情熱が、希望が、何もしなければ時の経過と共に掠れて消えてしまうのだ。 ルリユール。それは本の修復師。時の経過に抗い、愛すべき本を後世に伝えし職業。 ルリユール。それは書籍の守護者。繊細な技術と情熱を以て、本への愛を奏でる者。 この珍しい職業が、精緻な筆致と緻密な描写で綴られる。静かな、だが真摯に本と向き合う心が――この小説にはある!