僕達はもう振り返らない 完結日:2016年8月6日 作者:greed green/見鳥望 評価:★★★☆☆ 3.1夜の道。死んでしまった愛犬コロと歩いた道。 コロを思いながら歩く夜道で、僕は一匹のパグと出会った。 「あんたも散歩か?」 パグは平然と僕に話しかけてきた。 そんなパグと僕のある夜のお話。 話数:全8話 ジャンル: 登場人物 主人公属性 未登録 職業・種族 未登録 時代:未登録 舞台:未登録 雰囲気:未登録 展開:未登録 その他要素 向き合う 家族 心 日常 犬 注意:全年齢対象 なろうで小説を読む
愛犬コロを亡くした『僕』は、夜の散歩道をひとり歩く。コロは幸せだっただろうか――自問を繰り返す『僕』の前に人語を喋るパグ、ダッフルが現れる。気さくな彼は『僕』と並んで歩きながら、自らの身の上話を始めた。 ホラージャンルではあるが童話のような味わいの優しい物語。 犬を飼った経験のある人なら、彼らがどんなに感情豊かで人間の気持ちを察する能力に長けているか知っているだろう。そこに言葉はいらない。ともに歩いて同じ時間を共有する行為自体が、彼らとの会話になるのだと思う。「心が向き合ってたら、たいがいうまくいくもんなんだよ」というダッフルの台詞どおり、それは人間のエゴではなく双方向の交流なのだと信じたい。 ダッフルは『僕』を意外な事実へと導く。『僕』とコロ、そしてダッフルと飼い主の心が通じ合っていたと分かったから、僕達はもう振り返らない。切ない幕切れにも拘わらず温かい読後感が胸に広がった。