評価:★★★★☆ 4.1
新入社員研修が終わった夏のある日。季節外れの物件探しを試みていた主人公は、人事一押しの物件を訪れた。いわくありげな雰囲気を恐れ、入居を回避したところまでは良かったが、その日を境に奇妙な手紙が届くようになる。追い討ちをかけるように、社内で孤立していく彼女が辿り着いた場所とは……。
※この作品はアルファポリスにも投稿しております。
話数:全6話
ジャンル:
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
その他要素
注意:R15
彼女はどこで間違えてしまったのだろう。 最初から何もかも歪んでいた。 悪意の鳥かごの中には、本当に必要な言葉は届かない。 差し伸べられる手にすがってしまうのは、仕方のないことだった。それがさらに彼女を苦しめることになるなんて……。「帰りたい」 その切なる願いに胸が潰れそうになる。 どうか、そっと開いてみて欲しい。 ラストの鮮やかな夏の描写がきっと心に残り続けるだろうから。
ホラーと言えばわりとバーンッと出てくるか、はたまたぞっとするような奇妙な感覚というのが御約束なモノなのですが、この作品にはあまりそういうホラー演出のようなものが無いように感じました。 淡々と進む、だが確実にナニカがおかしい、なんというかズレていると言いますか、自分の語彙力の無さが露呈してしまいますね。 なんだか怖い。すごい曖昧ですがそんな作品だと私は思いました。
とぷん、とぷんと何かが染みてくる気付いたら身体中に粘りつくかの様に、くっついているそんな恐怖一話を読んだ時点で、既に迫り来る予兆、粘りつく様な恐怖。じわじわと逃げ道を塞がれる様な気配が、読んだあなたを捕らえて離さない。風景と人物、さらには心理描写が一体となって、読めば読む程に深みにはめられていく様な気分にさせられます。暑い夜にホラーはいかがですか。大丈夫。後ろを振り向くのが怖くなりますよ。大丈夫……ね……。