評価:★★★★☆ 4.3
──2014年9月。
震災被災地ボランティアとして宮城県気仙沼市に降り立った少女・花は、いまだ破壊の後の生々しく残る被災地の状況に大きな衝撃を受ける。
「私にできることって、何だろう」「私は本当に、ここへ来てもよかったのか」
ボランティアとして様々な職務に取り組みながら自問する日々も、気付けばいつしか最終日の前日に。翌日を気にして眠れずにいた花のもとに、その晩、現れたのは──。東日本大震災から五年半が経った今、「非被災者」は被災地域とどのように関わっていくべきか。
作者の体験をもとにした、半フィクションの震災小説です。
話数:全16話
ジャンル:ヒューマンドラマ
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:全年齢対象
東日本大震災。気仙沼を襲った大津波。これらの言葉から引き出される思いは人それぞれだろう。筆者は恥ずかしながら、なんとなく触れてはいけないタブーのような思いがあった。知らない、というのは楽だ。痛みや苦しみを覚えずに済む。覚えてしまった苦痛は、なかなか忘れられるものではない。しかし同時に、知らないというのは罪でもある。残酷なほどに食い荒らされた被災地、宮城県気仙沼市。そこへ降り立つ1人の少女・花。彼女が目の当たりにした津波の爪痕。残された人々、赴く人々。彼女が見つめる先には一体何があるのだろうか。静かな迫力で綴られる文章と、震災に馳せる作者の思い。今ある人たちの為にも、後世へ続く人たちの為にも。どんなに心が痛くても、目を無理やり開いて見なければならない時がある。貴方にとってそれは今ではないかも知れない。それでもいいのだ。扉は常に開かれている。