評価:★★★★☆ 3.7
世界を救ったのは勇者でも英雄でもない。ひとりの錬金術師だった。
感電事故に遭い、死んでしまった万事平均以下系男子は、異世界にて再び生を受ける。しかし転生するも、次世代魔王――元錬金術師の死体に魂が宿ってしまうことになる。
憑依先の不死身に近い肉体スキルと、転生にて得た、使い方次第で世界を滅ぼせるチート能力を駆使しつつ、勇者の血を継ぐ大賢者の住まう小さな町にて、平穏だけど非日常な異世界ライフを満喫していく。
※舞台や人物はほぼ「双黒のアルケミスト」と同じですが、別の世界線のお話です。
時代:未登録
舞台:パラレルワールド
化学科の大学生が転生して、禁忌を犯し処刑された異世界の錬金術師に憑依します。主人公は、物質創成、物質構成、物質分解など凡人には使いきれないほどの化学・物理学に特化したチート能力を持っています。作者さんが現役大学生の化学科ということで、化学描写は詳細でかつ分かりやすく、戦闘描写の戦術は作者さんの豊富な知識を駆使して自由自在、縦横無尽で、本当にかっこよく痺れます。これほどアカデミックな描写をエンタメの中に、難しくせず上手く組み込んでいる作品はなかなかないと思います。その匙加減が絶妙です。勿論、主人公や賢者の先生をはじめとする登場人物も魅力的で目が離せません。最初は周囲から忌まれていた主人公が、町の人との信頼を徐々に築いてゆくストーリーだても熱く、ぐいぐい引き込まれてゆきます。この作品には唯一無二の魅力があると思います。ぜひ読んでその世界観に酔いしれていただきたいです。