評価:★★★★☆ 4.1
国を挙げたプロジェクトである『人知を超越した脳力を手にする超体験モニター』とやらに参加する事になった俺。
今日が人類の新たな門出だァ? なんか胡散くせーな、早く帰って酒でも飲んで寝てえ。……なんて、そんな風に思っていられたのははじめのうちだけだった。『SPACEBABY MEDITATION』という得体の知れない装置の中で幾度となく、容赦無くかき回される俺の脳味噌。
最終的に俺はヒトの枠組みを超えて、宇宙の全てまで理解できちまった。……だけど、結局どうすればよかったんだろう。*変性意識とは日常的な意識状態以外の意識状態を指します。
この物語では、エンセオジェン(神聖な幻覚剤)等によるインナートリップ、超能力、宇宙、神話、空想科学etcがカオティックに絡み合い、収束に向かう様を『リーディングドラッグ(読むドラッグ)』と銘打った独自の観点でお見せしていきます。固定概念を吹っ飛ばして、様々な違和感を受け入れて、
主人公のノブルと一緒になって不思議な感覚を覚えていただけたら幸いです。
※2016年9月25日に完結しました。私自身読み直して不自然な言い回しであったり、加筆したい部分等に関しては適宜修正を加えていきます。
話数:全40話
ジャンル:SF
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:宇宙
雰囲気:未登録
展開:未登録
その他要素
注意:残酷な描写あり
誰かが「読むドラッグ」と評価していた作品です。前から読んでみようかなと思っていて、やっと連休で読めました。ストーリーは、SPACEBABY MEDITATIONという、トリップマシーンに入ってからの主人公たちが見るヴィジョンが主軸で、ストーリーという形そのものを壊そうとしたような実験的作品。正直、わけわかめなのですが、それでもスラスラ読めてしまえるのは独特のテンポ、疾走感、リズムがある文体だからで、とても普通の人にはマネできない世界です。世界の崩壊と再生、根源的な宇宙の気持ち悪さ、みたいなことをチラリとでも考えたことがあるタイプの人には、この作品は「感覚的に」わかるのではないでしょうか。それでもラストは一応オチがついていて、感覚的な作品なのに着地できるのは著者さんの才能としか言いようがないかも知れません。
見慣れない文体……かもしれません。 けれど解りやすく脳に入り込んでくるので、正直途中で“気持ちが悪くなる”かもしれません。 とにかくグルグル回ります。(表現が上手いからだと思います。) 登場人物の言葉が荒っぽかったり、ドラッグでぶっ飛んだりするので、男性向けかなとは思いましたが……。 女性でも楽しめます、前半苦手だと思っても、最後まで読むべきです。 涙腺崩壊しました、“こんな仕掛け”があっただなんて。 ただのエキセントリックなSF作品ではありません。 最後まで読んだら、第一話に戻ると……余計に感慨深いです。 素晴らしいです。
最近SF界隈では流行り?の崩壊世界系小説。『セルフ・リファレンス・エンジン』『テキスト9』『月世界小説』、古くは『脱走と追跡のサンバ』などに似た、狂乱世界のオンパレードです。そんな崩壊世界系小説の中で、この小説の特徴はといえば、瞑想などのニューエイジ文化をテーマとしていることでしょうか。ニューエイジ的な世界観の作品は珍しいですが、RPG風の戦闘やギャグ、ヒロイン萌えの要素など、オーソドックスなエンタメ要素も欠かないことがこの小説の魅力です。それと、スケールも大きい。崩壊世界系SFが好きな人はもちろん、風変わりな作品が好きな人や、見慣れた普通の「異世界」に飽きてしまった人にオススメです。
今、あなたは本当のあなたに目覚めていない。マインド(思考)が邪魔をしているからだ…。いいかね、頭で考える。だから、あなたを取り逃がすんだ。これまで何度もあなたは取り逃がしてきた…何年も、何生も…。これ以上、あなたは自分の人生を取り逃がしてはいけないよ。ここに小説版の私がいる。作者は遠くインドで魂となった私を感じ、小説にしてくれた…実に美しい話だね。 わかるかい、ふむ? あなたはもうすでにあなたを問題にしている。問題を取り扱うとき、それを考えて処理してはいけない。マインドはほとんど光の速さで走ることができる…が、感じることは距離を超える、時代を超える、あなた自身を越えるのだ。神をも超え、全体に溶け込むだろう。あなたの魂が十全になった時、世界にとってあなたは全てであり、あなたにとって世界は全てなのだ。 こんな話があるね…。 ムラ・ナスルディンが、農村で商人をやっている時…(以下略)
中毒性があると謳うだけあって、まるでドラッグをしているような感覚を味わいます。最初は理解が追い付かないうちに始まり、だんだんと作品が醸し出す世界へとずるずると引き込まれてしまうこと間違いなし。読み進める度に戸惑い、受け入れてしまう自分が居ることに気が付くかもしれません。ああ、きっとこれは作者の狙い通りなのだろうと思っても、止めることが出来ない。読み終わっても、もう一度読みたくなるような作品です。興味のある方は是非とも読んでいただきたいです。
なろうテンプレとは一線を画した意欲作だと思います。なかなか主人公の名も語られないまま話が進んでいって、ふーんと思いながら読み進めていたら四話あたりから一気に引き込まれた。概念がまるでゲシュタルト崩壊のように融解していくこの感覚は本当にドラッグ体験でもしているかのよう。読む手が止まらなくなることにある種の怖さまで覚える怪作です。終盤一気に伏線を巻き取っていきながらのクライマックスは圧巻。読了後、こんなにスッキリする作品だとは序盤では思っても見なかったです(笑)完結済み作品となっておりますが、いつまでも読んでいたい、余韻に浸っていたいと思える作品です。是非皆様もこのリーディングドラッグ、体験してみてください。※以前にレビュー投稿させていただいておりましたが、投稿後数日で完結されましたので(苦笑)、改めて投稿させていただきました。
まず第1話は重要だ。面倒くさがらずに読み飛ばしたり切ったりしないように。これはこのあと始まる猛烈な体験で自我を忘れないための作者の心配りだ。あとはショックを受けて死んでも、脳みそがおかしくなりそうになっても大丈夫だ。あなたは宇宙船に乗って七面倒臭い説明を受けてからでないと出発できないのと一緒で、奇妙な体験が保証される今作を楽しめる機会を得ることができるようになるのだ。だから読み飛ばすことは危険だ。内容は夏目漱石の夢十夜を思わせる。しかしそれより若い感性には、どこか薬めいたリバーサイドな感覚が楽しめる少しイケナイけどイカした、吐き気がするような新感覚を体験できるだろう。