評価:★★★★☆ 3.9
~もしも天岩戸事件の解決に、月の神ツクヨミが関わっていたら?~
「天岩戸隠れ」は単なる引きこもり事件ではなかった。
太陽神アマテラスが魂を奪われ、黄泉の国へと連れ去られた事件だった。
世界を覆う暗雲は、黄泉の女王イザナミの策謀だったのだ。
このままでは天上も地上も、全てが死の世界となってしまう……!これはもうひとつの古事記。もうひとつの天岩戸伝説。
太陽の死と再生の裏に隠された、大いなる月の物語。
ツクヨミ、スサノオ、タヂカラオ、ウズメ……そしてオオゲツヒメ。日本古来の神々による、闇に覆われた日本を救うための冒険が始まる!
話数:全79話
ジャンル:異能バトル
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
月読命(ツクヨミノミコト):アマテラス、スサノオと兄弟の月神。そんな彼に対して、悪魔合体で有名な某ゲームのプレイヤーの持っている印象といえば、「そんな悪魔いたっけ?」←「あー、あのレベルの割に使えない奴」「頭に鏡着けてて、マントの中が宇宙の人でしょ」こんなところでしょうか。日本神話では三貴子とまで言われる偉い神様なのに散々な扱いです。そんな影の薄いーーもとい、出しゃばらないツクヨミ様の立場から語られる日本神話。「作中で、他のキャラに主役の座、食われ気味じゃね?」読んでいる途中で、やっぱりこう思ってしまうことでしょう。そこはまぁ、ツクヨミ様デスカラ……。それこそ彼の美点。たぶん。メイビー……。原典だとひたすらに読みにくい昔話も、この作品でならすんなり読めます。間にちょこちょこ雑学も入れ込まれていて、読んでいるうちに知識が増えるという仕様が素敵です!
ファンタジーと言えば中世ヨーロッパ? いえいえ、日本神話だってめちゃくちゃ面白いんです。古文や歴史で習ったけど意味がよくわからなかったという方も大丈夫です。涙なくては語れない親子愛に、待った無しの命がけのバトル、熱い友情に切ない出会い、もちろんポロリもあります(笑) ちょいちょい挟まれる豆知識がくすりとさせる本作、ハリウッド映画にだって負けませんよ。とんでもない口説き文句に、美女の裸踊り、出所がヤバイ絶品メシ。これくらいしか日本神話のキーワードを知らなくても、絶対に楽しめます。むしろ本家を知らない方が面白いかもしれません。ブリッジをして猛スピードで追いかけてくる強敵からいかにして逃げ切ることができるのか?! この独自解釈、恐るべしです。神話というのは当時の大衆娯楽だったのだなあと思わず実感する、波乱万丈のスペクタクルファンタジー。八百万の神に出会う旅に出かけてみませんか?
日本神話ってとっつきにくくない? 名前がまず長いし、覚えられないし、意味分かんないし。そもそも出だしからして難しいし。 そう思いませんか? 日本神話がお好きな皆さんも、ちょっとよく分かんない皆さんも、とにかくまずはこの作品をひもといてみてはいかがかしらと思います。 あまりよく知らなくたって大丈夫。すごく有名な神様イザナギ、イザナミ、アマテラスや、ちょっと誰だったか覚えてないようなツクヨミ、今回はヤマタノオロチとは戦わないんだね~なスサノオが出てくるお話なので!! アマテラスが岩戸の中にお隠れになってこの世が滅びそうになるという大きな事件の裏側で、こんなことが起こっていたかも!? という、ロマンあふれるだけでなく爽快な大活劇が展開されます。ほら、天岩戸といえばウズメちゃん! もちろん彼女も出てきます。……なに想像したの? エッチ!! ところで、主人公って、誰?(笑)
なろうの住人になってそろそろ1年10か月ですが、なろうの中に「日本神話ジャンル」ともいえる作品群があるよなぁとすごく感じています。日本神話を題材にした作品を描かれている方はかなり多いです。これで読んだのも3本目であります。しかしながら、この作品は相当な古事記読みでなければ書けない作品で、日本神話の概要を知りたい方には非常によい読み物です。アマテラスがコスプレしたり、ツクヨミがキャラチェンジしたり、スサノオがヤンキーになったりと自由な描写ですが、テンポ感がよく引きこまれました。日本神話に触れたことのない方はぜひ、本作を読んでみてください。興味が持てるようになるはずです!