評価:★★★★☆ 4.2
――恋の矢印の向く先は、異性だけとは限らない。
中学二年、夏。
単純で、すかっと明るい、陸上部の蒼。やたらと女子にもてる、蒼の親友、哲哉。
女子あつかいされるのが大嫌いな、美術部の唯。引っ込み思案のほのか。理屈ばかりこねている、茅野。
幼馴染? 親友? それとも……。
ある日いきなり、蒼に、恋のスイッチが入ってしまったことから、五人の想いはからまり出す。
そして、季節もめぐっていく。一章ごとに語り手の変わる、初恋と友情をめぐる群像劇。
話数:全26話
ジャンル:
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
どこにでもいそうな中学生5人の、恋愛と成長の青春ストーリーである。全編を通しての印象は青。爽やかな青。心に秘めた濃紺の青。青春の青。彼等をとりまく空と海の青。青は、くしくも登場人物のひとり。陸上部の「蒼」の名前とも重なる。なかなか思い通りにならない、初恋。同性の友人によせるほのかな、恋情。告げる事さえ叶わない、悲しい。けれど強い恋こころ。恋なんてしない! そう思っているのに視線は自然に吸い寄せられていく、無意識で不器用な恋。5人それぞれの視点で語られる群像劇は、まるで様々な濃淡の青が重なっていくように、物語りに深みをもたせていく。今まさに中学生のあなたへ。かつて中学生で。せつない。言えなかった告白を胸に秘めていたあなたへ。初恋を勇気をもって告げたあなたへ。あなたの恋心が、カチリと押された日のスイッチを思い返して読んでいただきたい物語りである。