評価:★★★★☆ 4.3
私の姉は、聖女だったらしい。
亡くなった姉を探してやってきたのは金髪碧眼の麗しい王子様。『世界の平和を救う為』なんて日曜朝7時30分な理由で姉を迎えに来たというが、姉はすでに骨壷に収まっている。このままでは帰れないと嘆く王子に私は聞いた。
「あんた何ができんのよ?」
「棒、槍、剣、双剣、斧、弓は一通り習得しておりますので―――」
「ばかっ!そんな仕事、現代日本にあるわけないでしょ!」聖女の妹だという女王様な私と、その配下に下った王子様とのへんてこ同居ライフが今始まる。
【聖女シリーズ第二弾 ※単発でも読めます】
※アリアンローズ様より2016年12月刊行
話数:全21話
ジャンル:
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:R15
聖女シリーズ2作目までを読了して。サクサク読めます。そこそこ文章量があるので、軽く読んだつもりでも結構時間とられますが、そこに後悔はないですね。(取られるといってもそれでも1日くらいですので、残業自慢の方にも安心)異世界関連のお話をそこそこ読んでますが、現実に即したある意味リアリストな部分と、いろいろな意味でファンタジーな要素を兼ね備えたこの「恋愛物語」は、爽やかに心のうちを撫でてきますね。「異世界英雄譚」、わかりやすく言えば「異世界で俺スゲエ」作品で食傷気味な方にこそ読んでいただきたい。もちろん、純愛作品としてもオススメしたい。男だからこそ、「なろう」で溢れている強いキャラクターに憧れますが、こういうセンチメンタルな部分も併せて感銘していきたい。
こんなに腹立たしい物語があっただろうか。生意気だが弱い主人公は、読んでいると無意識に軽んじたくなる。しかし、思いもかけないことをする。常識が役に立たないようなことをする。誰が最終決戦の場面で、あんなことをする人間がいると思うのか!私は彼女から、そこでラスボス並みのダメージを受けた。それでも私は生きていた。生き抜いて見た結末で、私は想像の千倍重い張り手によりトドメを刺された。この物語は、現実ともうひとつの世界が「喪失」というキーワードでリンクする物語。多くのお笑いと日常描写に隠されながら、ずっと裏に這いずっている「喪失」の物語。その「喪失」を粉砕するには軽いラストでは到底追いつけなかった。その重さに「やられた!」と断末魔の悲鳴をあげながら腹立たしく散る人がどれほどいるのか。少なくとも私は散った。チリになった。