評価:★★★★☆ 4.2
“花も私もあげる。でも、私はおまじないなんて信じないわ。貴方の願いは私が叶えてみせる”
不治の病の少女・レイナは愛する人を皇帝にするために身も心も捧げ、無理を重ねたせいで呆気なくこの世を去る。姉の境遇に胸を痛めていた弟は帝国からの離脱を計画し、炎の精霊王はレイナを愛するが故に皇帝に仕え続けると決めた。残酷に、無自覚にレイナを追いつめた皇帝は、死の間際になってようやく後悔したが、手遅れで……。
────正妃レイナの死は、長きに渡る愛憎劇の始まりだった。
※リッカ~瑠璃色の復讐劇~と同じ世界観の遥か過去、先祖世代の話です。リッカの設定バレは含まれますが、この作品単体で読めるようになっています。
※視点変更していきます。
話数:全14話
ジャンル:
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
凋落(ちょうらく)とは、花や葉がしぼんで落ちる様を指します。作品のキャラ達も、最初は気高く、力強く、理想や希望に満ち溢れていた花のような存在でした。ですが、すれ違いや、個人の欲望を優先するあまり、幸せまで辿り着けず……悲しくも儚く散っていきます。作品の形式としては1つのシーンを多数の視点で振り返り、理解度を高めていく感じです。最初は「ん?」と疑問に思うところがあっても、先の視点で新たな提示があったり、追加の展開があったりします。同作者の別作品と繋がりはありますが、年代がかなり離れているので単体で読んでも問題は無いと思います。僅かという意味、希望の零(レイナ)から始まり、何も無いという達観の零(ゼロ)へ至る物語。初恋、建国、種族間協力、皇帝との結婚。それらの凋落する姿が見たい方は、この儚くも美しい世界を覗いてみてください。