今日のおはなし

2014年9月から毎日投稿されている、900話に迫る短編集です。 しかし驚嘆すべきは、その量よりも、クオリティ。 題材からジャンルまで、多岐にわたります。 心あたたまる話、闇を覗き込む話。軽快な笑い話、真理を抉る箴言。想像の翼を高く羽ばたかせるファンタジー、じっと足元の日常を見詰めるエッセイ。 その発想力と構成力を形容するのに、「底知れぬ」という言葉以外を思いつけませんでした。 しかも描写のひとつひとつが、「巧み」です。楽しむも良し、酔うも良し。「なぜ、そのように言葉を選べるのか、操れるのか」と、首を傾げてため息をつくも良し、です。 作者の溝口智子さんは、『万国菓子舗 お気に召すまま』で、第一回お仕事小説コングランプリを獲得され、マイナビ出版から本を出された、プロの小説家です。 「読み専」の方にはもちろん、「書き手」の方にも。大きな実りをもたらしてくれる小説です！

毎日一話ずつ、コツコツ書かれてゆく短編たち。シリアスあり、コメディあり、ホラーあり、童話あり、時にはエッセイもあり。まさになんでもありの、宝箱のような作品です。蓋を開けば、色とりどり、様々な形の宝物が飛び出します。その中に、きっと、読み手にとって特別なお話があるはず。短編なのでどこから読んでも楽しめる上に、読みやすく丁寧にかき上げられた文章は、どれも清々しく読み終えることができます。悲しい時、疲れた時、ちょっと何か読みたい時に、いつでも手元に置いておきたいお気に入りの文庫本のような、そんな短編集なのです！