黒船来航以来、日本国内は混乱していた。
江戸幕府を助ける『佐幕派』、鎖国をやめ他国と国交を結ぶ『開国派』、天皇を敬う『尊王派』、外国人を排斥する『攘夷派』、幕府を倒す『倒幕派』、そして、それぞれの人々の思惑、信念、陰謀、野望により、慶応四年(1868年)江戸時代最後の内乱が勃発した。
『戊辰戦争』である。奥羽越列藩同盟を中心とする『旧幕府軍』と長州藩・薩摩藩を中心とする『新政府軍』との戦いは、火器の発達により凄惨を極めた。
最早、槍や刀の時代ではなかった。
新しい時代の始まりであった。
その激しい時代の渦の中に巻き込まれた、小さな藩があった。
越後・長岡藩である。
はじめ、長岡藩は河井継之助による構想『スイスのような中立国』を目指した。
内乱をしていては外国に侵略される可能性がある事を、河井は憂慮していた。
慶応四年(1868年)五月二日。
小千谷の慈眼寺にて河井は『新政府軍・軍監』岩村精一郎と会い、戦をやめて皆で新しい国家を作り、国を共に守る事を提案した。
『小千谷談判』である。
しかし、交渉は決裂。
長州藩・薩摩藩は、戦で徹底的に幕府を討つ必要があった。
自分達が徳川に成り代わるには、幕府の存在は邪魔だった。
交渉など、無意味だった。
河井は長州藩・薩摩藩の横暴さ、不正義を目にし、とうとう決断した。『我らも、戦に参加しなければならない。
戦を、早く終わらせねばならない。
国を亡ぼさない為に・・・』長岡藩は『奥羽越列藩同盟』に加盟し、参戦する事になった。
その長岡藩に、一人の少女がいた。
長岡藩士・野口久馬の娘、野口ゆきである。
ゆきは長岡で家族や友人達と共に、平和に暮らしていた。
しかし、少しずつ戦の影が忍び寄っていた。
ゆきは戦に巻き込まれて行く中で様々な人々と出会い、学び、自分が何の為に生きているのか、自分の役割とは何かを考えるようになる。
普通の少女であったゆきが見た長岡とは、人とは、戦とは、生きるとは何か・・・。※ 『dnovels』終了の為、掲載していたもの(2014年12月28日~2016年9月22日)
を転載しました。※ 2019年12月31日、訂正と画像挿入終了致しました。
今後、大きな内容の変更を行う予定はございませんが、誤字・脱字等見つけた場合は
訂正等するかもしれません。
大変申し訳ありません。
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