評価:★★★★☆ 4.3
魔力が当たり前にある世界。人それぞれ違う色の魔力を持つが、世界にただ独りだけ同じ色を持つ「魂の番」と呼ばれる相手がいる。
そんな世界に生きる雌狼は、魂の番を探し世界を彷徨い、漸く運命の相手に巡り合った。それは森の奥の一軒家に引きこもり、独りで研究を続ける人間の男。
研究に夢中な男に、狼はせっせと食べ物を運び、「お前、僕を太らせて食べるつもりだろう!?」
と怯える男に、
「ああ愛しい番、はやく大人になれ」
と愛を囁く。
そんなどこまでもすれ違うふたりの、魂の番を巡る、ちょっぴり切ない異種族間恋愛譚。※向日葵様主催の、「世界に向かってもふもふ愛を叫ぶ」企画参加作品です。
話数:全2話
ジャンル:
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:残酷な描写あり
本作のヒロインは、強く賢い森狼。彼女は本能に従い、魂の番をただひたすらに探していた。魔力の色が同じ番と契れば、確実に優秀な種を残すことが可能だからだ。ある日ようやく見つけた魂の番は何やらみっともない姿で、しかも空腹で死にかけていた。研究一筋でどうにも生活力のない男と、そんな男を赤子だと勘違いし甲斐甲斐しく世話を焼く狼。少しばかり噛み合わない会話もまた和やかで、そのズレさえも愛おしく思えてくるのです。けれど優しい時間はゆるやかに流れ、そしていつしか終わりを迎えます。果たしてその結末とは……。ほのぼのとした世界の中で、穏やかに描かれる日々。その小さな積み重ねがあるからこそ、一途な狼の思いに私たちは心を打たれ、切なさを覚えます。物語の最後に、きっと涙が溢れるはずです。