評価:★★★★☆ 4.2
その龍は、ヒトの《夢》を喰らう──
あるとき、あるところで……具体的には、近世と近代のあいだぐらいの時代の、私たちが知らない、地球とよく似た星で、ヒトと龍は厳しく生存競争をしていた。
そんな中、ひとりの狩龍人(かりゅうど)が巨大な龍を殺しに行く。しかしそこには、龍の背中に暮らすヒトのすがたがあった……!
話数:全8話
ジャンル:アドベンチャー
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:残酷な描写あり
この世界の龍は、人の夢を喰らう。だから、龍狩人という職業があるのだ。 龍狩人のティムルグは、ある日山と見まごうばかりの龍を狩る様に依頼される。 分け行った先には、なんと龍の背中に集落があったのだ。 物語が進む程に、深まる謎。変わり行く景色。それも全ては最後の一枚絵に集束していくかの様に。 夢は微睡む甘さでは無い。 自らの高き理想として掲げる強き目標。 見よ、気高き若人の魂を。 これは、夢を追い掛ける総ての人への熱い、篤いメッセージ。 龍は、そこに、ある。
有史以前より、我々は爬虫類と奇妙な隣人関係を築いてきた。 人から眺めた彼らの多くは小さな虫と大差が無い。けれども藪に踏み込めば、いつその足を噛まれるか。はたまた河や沼に浸れば、一呑みにすらされかねない。 そうした彼らが人の頭で夢幻と化したものが《龍》である。山河にはびこる鱗虫に、《夢》で編まれたその遺伝子が偉大な魅力を与えたのである。 ゆえに人は龍に挑むし、龍に憧れ、龍を描く。人の脳裡にこそ住む生き物。恐ろしく且つ、慕わしい。 『狩龍人』の生きざまは、人と龍の在り方を見事に具現している。このコンパクトな文字数に、それらすべてが込められている。よくよく磨かれ、またよく練られた純度の高い幻想譚。皆さまぜひご一読あれ。