情熱を内に秘めたエメラルド

環境によっては好きという気持ちだけでは共にいられなくなるのが恋愛というもの。そんな周囲の事情で恋を捨てねばならなかったカップルが運命の再開を果たす。彼女の勤める店に、彼が婚約者を連れてウェディングヴェールを発注に来たという形で。二人の脳裏に浮かび上がる昔の思い出。変わりだす運命――不完全燃焼な恋を引きずる二人がそれからどういう道を辿るのか、あなたのその目で確かめてみませんか？

恥ずかしながら韓国ドラマが大好きな自分。ちょっとやそっとで人生うまくいかない、結婚してはみたものの本当は忘れられない人がいるなどなど……平日の午前中に韓国ドラマを必ず見るというあなた。ハーレクインにハマりますぞ。この作品には中毒性があります。もっと読みたくなります。登場人物の心情や背景の描写、世界観の設定、全て美しいです。 描かれた美しい世界で、動く『想い』♩なんでしょう…偽りの婚約者…こういった要素がグイグイと読者を引き込んでいくのでしょうか。 しかし韓国ドラマと違い、美しい。ドロドロではなく美しい……こんなものがあったとは。 知らなかった自分を責めました。まだハーレクインを知らない方、もちろん知り尽くしている方にもオススメです。 こちらの作者様はどの作品も美しい描写が持ち味ではないでしょうか。 是非読んでみてください。

タイトルの通りです。あらすじにハーレクイン風恋愛短編。と銘打ってあるのを見て、「なに？それ？」となる人も多いのでは？ 特に男性の中には、私もそうでした。そんな細かいことはどうでもいい。とにかくお読みいただきたい。作者様の作品の最大の魅力は世界観の構築である。作品内に出てくる小道具、大道具、食べ物や建造物から土地まで、それらのディテールの高さと名詞や単語のチョイスには毎回感心させられる。確かな世界観の中に登場する人物達は、物語の中の世界で確かに生きている。彼ら彼女らの人生や歴史が確かにそこには存在するのです。だからこそ主人公であるヒロイン、ジョルジェットとヒーローであるリチャードの恋愛劇に読者は入り込めるのです。傍から見ればとことんこの二人に甘いストーリーにも思えるが、ハーレクインにおいてそんな無粋な突っ込みはナンセンス。これこそが、ハーレクインなのだ！篤とご覧あれ！

この婚約は偽り。女は愛する男のために、また一つ嘘をつく。男性とは縁遠い生活を送る主人公。可憐で美しいにもかかわらず、慎ましい生活を送る彼女には忘れられぬ男性がいた。彼を愛するが故にその手を離したというのに、彼を想う心はあの頃のまま。そんな主人公の前に、男は唐突に現れる。過去の出来事を盾に、偽りの婚約者として振る舞うように要求される主人公。果たして主人公の切ない想いは報われるのか。主人公の話を聞かないヒーローに、健気なヒロイン。お調子者の秘書に、訳ありなおばあさま。ハーレクインの魅力とお約束をぎゅっと一つに詰め込んだ、きらきらと輝くこちらの作品。ハーレクインが大好きな方にはもう垂涎もの。蕩けるような甘さにうっとり。ハーレクインを知らずとも、どっぷりと甘い世界に浸りたいあなたにはオススメです。もちろんハッピーエンドは保証済み。さあ至福の時間をお楽しみくださいませ。