評価:★★★★★ 4.5
主人公の優馬は生まれながらにして、自らリプレイス能力と名付けた特殊能力を持っています。その能力とは、自分の病気や怪我を他人にうつしたり、逆に他人の病気や怪我を自らにうつしたりすることができるというものです。ただし、かなり制約が多く、一歩間違えば自分が死に至る危険がある不完全な能力です。幼少の時に偶然発動し、それ以後優馬は自分の能力を理解すべく、検証を重ねていきます。また、ルーツが亡き父親であることも突き止めます。しかし、安易な考えから能力を用いて人を殺してしまったことにより、罪の意識にさいなまれ、人生に翻弄されてゆきます。その後の人生で優馬は、この能力を使っても、本当に大切な守りたい人を守ることができません。母親を救えず、殺人の因果応報が、自分の身に降りかかっているのではないかと恐れます。しかし、大人になってから再会した同級生の奈穂と一緒に、癌に苦しむ人を癒すことにより、自らの禊を期待し、因果応報の呪縛からの解放を願います。そんな折、結婚し妻となっていた奈穂が癌に侵されていることを知ります。優馬は妻を、リプレイス能力を用いて癒そうとしますが上手くいきません。妻を失った優馬は、人生の意味を探す旅に出ます。妻の癌の一部を自らに取り込んでいた優馬は、自分の死までを期限として人生の意味を探しますが、答えは得られず、あきらめかけます。その時、過去に妻と一緒に癌を癒した少女が世界の舞台で活躍していることを知り、亡き妻の生への強い思いに気付きます。それこそが答えだったと気づいた優馬は、亡き妻の願いを叶えるべく、新たな一歩を踏み出す決意をします。
話数:全10話
ジャンル:
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:全年齢対象
なろうではあまり見られない、重い雰囲気に包む、一つのテーマを真剣に突き進む作品です。超能力があるからて順風満帆の生活が生きるという凡百の作品と違って、超能力者だけあっての苦悩が、淡々と、力強く書かれています。考えてください、常人が世の中の無常を喚くより、能力と希望が持ってしても変えない悲劇の絶望を。能力が真に使いたい時が効かない無力感、能力が自分の望まないことを引き起こせる罪悪感。能力があるのに使わないのは罪か?超常の力を振りかざすのは傲慢か?その答えをこの作品で探していかがでしょうか(注意:動物虐待の描写があります)