冬の王女 - 約束の冬 – 完結日:2017年4月2日 作者:たびー 評価:★★★★☆ 4.2人々から嫌われ、遠ざけられる冬の王女は一人の少女と出会います。 少女は「冬が好き」と言いました。 冬童話2017の設定を使っていますが、「女王」が「王女」になってます。 ※エブリスタでも公開中 話数:全7話 ジャンル: 登場人物 主人公属性 未登録 職業・種族 未登録 時代:未登録 舞台:未登録 雰囲気:未登録 展開:未登録 その他要素 白鳥 童話 注意:全年齢対象 なろうで小説を読む
四季を司る塔に交代で住む王女達。草木が芽生える春、強い日差しで命を育てる夏、豊穣の実りをもたらす秋。そして雪と氷に閉ざされ、全てが凍てつく冬。命すらうばいかねない存在であるがゆえ、人々から忌み嫌われていた冬の王女。ただ一人の侍女さえも持たず、孤独と諦めの中で暮らしていたそんな冬の王女はある時、離宮に迷い込んで来たひとりのみすぼらしい少女と出会います。成長した折には冬の王女の侍女になるという特別な約束を交わしたふたり。以後、冬の王女は穢れない心を持った少女の訪れを毎年次第に心待ちにするようになります。大変美しく格調高い文章で綴られた物語で、読んでいるうちにどんどん引き込まれていき、終盤近くになる頃には登場人物達がそれぞれに抱えている想いに自然と目が潤んできました。冬の王女が織り上げていく、舞い降りてくる雪の結晶がまるで目の前に見えるようなまさに映画のような芸術的な作品です。
約束を守れないことは罪だろうか。大切なものが増えることは悪だろうか。あなたが大切だという、その心は出会った頃のままなのに。すべてをあきらめ、ただ沈黙を守る冬の王女。彼女には付き従う侍女の一人もいない。めぐる季節の中、ただ冬の間だけ人並みに過ごせるという捨てられた小さな子ども。彼女は、「いらない」と言われることを何よりも恐れている。二人は、氷に守られた静かな世界で約束を交わすのだ。子どもが十六の年になったならば、王女に侍女として仕えると。子どもは少しずつ大きくなる。できなかったことができるようになり、子どもの世界はどんどん広がっていく。少しずつ増える彼女の世界を彩る人間たち。それを見守る王女の心は複雑だ。一面の白い世界で、王女はただ声もなく待つことしかできない。果たして二人の約束は守られるのだろうか。大切なことを学んだ王女と少女の行く末を、どうぞあなたも確かめてほしい。