評価:★★★★☆ 4.3
部活盛りの中学生・竹丘友慈は、ある日突然「脳腫瘍の疑いがある」と言われ、検査のために病院に入院することになった。
「こんなところでじっとしているなんて嫌だ!」──最初は不平を言い、ただ一刻も早い退院だけを願っていた友慈だが、たまたま同室になった同い年の少女との出会いが、その後の運命を大きく変えることになる。
彼女の名は、野塩愛。入院しているのに昼夜の逆転した生活、不自然に少ない食欲、そして友慈に寄せる関心の高さ──不思議な雰囲気を持つ彼女は、なぜか友慈をあちらこちらへと連れ出し、積極的に関わってこようとするが……。
彼女の目的は? 正体は? 友慈の病状の行方は? そして、痛みや苦しみを乗り越えてまでも、人が生きていく「理由」とは?──『……そしたら私、もう誰も死なせないで済むよ。ずっと憧れだった普通の生活、送れるよ』──
毎週金曜日、二十三時に更新していきます。
作者の高校生活最後の長編小説です。
「生きる意味」ではなく、「生きる理由」。あなたも友慈と一緒に、考えてみませんか。※本作は闘病小説という性質上、流血のシーンをはじめ、かなりきつい場面が連続する部分があります。読んでくださる方によっては、それらの場面は読み進めることが厳しいかもしれません。あらかじめ、ご了承ください。
※各章ごとにタイトルロゴを挿入してあります。また序章部分には病院内の解説を掲載しておりますので、地図などを見たい方はそちらをご覧いただけると助かります。本編完結後、本文中に登場する医療関係用語の解説を追加する予定です。
話数:全48話
ジャンル:
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:残酷な描写あり
他者、もしくは自分に問いかけたことがある人は多いはず。同じことの繰り返しが続く毎日の中で、人は徐々に生きる理由を見失っていく。ふと気付けば、理由もないままただ生きているだけだということもあるだろう。 この物語の中で、病を患った若い二人はそれぞれ生きる理由を探していく。限られた空間、時間の中で会話を、心を重ねて。共に喜び、悲しみ、怒り、衝突し、傷つきながらも。それでも必死に探していく。「生きる理由ってなに?」 そんな言葉を急に投げかけられて、果たして何人の人間が答えられるだろうか。 もし、答えが出ないのなら、二人と『一緒』に探してみるといい。自分が生きる理由を。生きたいと強く願った想いを。 それはまるで誰かと競うようにして生きている現代の人間が忘れてしまった、儚くて切なくて、悲しいはずなのにひどく愛おしい……大事な『落とし物』であり、『忘れ物』なのだから。