評価:★★★★☆ 4.2
金もなく。ぱっとしない俺の前に美女が現れた。しかも結婚までしてくれと迫ってくる。
けどどこか変だ。胡散臭い。
「翡翠堂じゅんじょう奇譚」のサイドストーリー。宮地圭介の弟弟子コーへー君の迷走する恋愛模様。※「翡翠堂」三部作ですが、本作のみで読めます。
以前短篇集に収めていたものを、加筆改稿しての再投稿となります。第六回ネット小説大賞1次通過作
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話数:全3話
ジャンル:
登場人物
主人公属性
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職業・種族
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時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:全年齢対象
アニキ! 俺彼女が出来ました!そんなノロケをして来た弟弟子に、兄貴分は冷たく返す。美人でおっぱいが大きくて、ご飯作ってくれて、稼げなくても許してくれる。でもね……絡めとって離さない。そんな美人のお姉さまは好きですか?大丈夫……。その方は一途過ぎて一人しか見ていないから。これはそんな女性に、身体の芯からじんわりとやられていくお話。
その毒は、口当たりの良い甘い酒に似ている。呑みすぎたことに気づいたときには、もう手遅れなのだ。気持ちよさと息苦しさが混在する、あの瞬間に似た何かを私たちは体験するだろう。隣でともに酒を呑んでいた相手ははて誰だったのか。なぜに嬉しそうな微笑みを浮かべているのだろう。ぐらりと倒れかけてから思い知る本質は、それでもなおこの身をとらえて離さない。囚われることに恐れを抱きつつ、けれどその味を忘れられないのは、それに溺れた男が悪いのか。それとも甘くしたたるような女がいけないのか。匂い立つような女のからだに、また目眩がする。そして酔いが少しばかりさめたなら、女の正体について考えてみるといい。霞の先に見えるその女の顔は、どんなかたちをしているか。いつの世のどの世界においても、女というものは皆したたかな生き物なのだ。愚かで可愛らしい男達は、ただ彼女達の掌の上で転がされ、あどけなく踊るばかりである。