評価:★★★★☆ 4.4
――私たちはただ、愛されたかっただけ。不器用なまま、精一杯愛そうとしただけ。
秘密の箱に隠されていたのは、父と母になれなかった兄妹と、大人になれなかった一人の子どもの物語。
とうの昔に亡びた王朝の最後の王と、その両親の真実が、一人の愚者に明かされた。※キーワードの近親相姦要素は主にリテリア編、男装/女装・多重人格要素はレィン編。
※Novel Days、セルバンテス、カクヨム掲載中
話数:全99話
ジャンル:
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
ある一人の男が暴いた秘密の箱。そこに隠されていたのは、人知れず受け継がれてきた悲恋の記録。男は好奇心旺盛な愚者として、遠い昔の真実に触れていきます。この作品は緻密に練り込まれたストーリー構成と、歪んだ愛の表現が特徴です。謎に包まれた全貌が徐々に明らかになっていく様は、読み手をどこまでも惹き込みます。物語が進む中で新たな事実に気付かされると、思いがけずハッとさせられました。知らず知らずのうちに秘密を暴く愚者になって、世界観に没入できることでしょう。独白という形をとった心情描写も印象的です。様々な想いを込めた言葉が、登場人物の魅力や人間味を引き出しています。幾度となく繰り返されるそれらの真意を知った時、物語の見え方が変わってくるかもしれません。甘い絶望と確かな愛が感じられる、おすすめの作品です。
よくある近親相姦とか、ヤンデレとか、思って読み始めるとそれだけではない、二転三転する物語に引き込まれていきます。ハッピーエンドかそうでないかは、読んでからのお楽しみ・・・ですが、私は最後で大号泣しました。途中の息をもつかせぬ展開も、最後の結末も、心をゆさぶられました。感動したい方に、おすすめの物語です。
物語はいくつかのパートに別れておりますが、どれも決して明るいものではありません。ですが、それが徐々に繋がっていく展開は、どこまでも練られていて巧妙です。そして出てくる登場人物たちは皆が皆、愛を求めていることは同じなのに、誰も彼もがやり方は違えど歪です。でも、そんな歪な彼らが読み終わる頃には、誰一人として嫌えない。むしろ愛着を持ってしまう……そんな不思議な魅力に溢れた作品です。ミステリー調が好きな方、背徳的なお話が好みの方、ヤンデレすきーの方、歪んでるけど愛に溢れたお話を読みたい方、ぜひぜひオススメします!
レビュータイトルには、ヤンデレと書きましたがこの作品にはそれだけでは言い表せない、魅力的な、とても愛おしく感じる登場人物たちが出てきます。この作品の魅力と言ったら、そんな登場人物たちと、終盤へ進むにつれ、明かされていく真実です。良い言い方が思いつかないのですが、噛み合っていなかった歯車が、一気にはまるような感覚で思わず肌がぞわりとさせられます。一般的な恋愛小説とは違った形式であり、内容も一風変わったものですが、作者様による、美しさすら感じる丁寧な描写が貴方を物語の世界へといざない、そして、きっと貴方はその世界へ引き込まれていってしまうでしょう。……残念ながら、この作品の素晴らしさを私では説明しきることができません。ですが、この話は、今まで読んできた恋愛小説の中でもトップと言っても過言ではないくらい面白いものでした。ですから、貴方もぜひ読んでみてはいかがでしょうか。
このお話は、あらすじと冒頭で破滅や悲恋が予告されています。 読み手としては、最初からそれを知ったうえで読みはじめるということになり、少し覚悟が必要です。ただ、最初から破滅や悲恋がわかっているからこそ、物語の中で懸命に生きている人々が輝くということもある。そういうことを教えてくれる作品だと思います。 ある者は人間らしく不完全で不器用、ある者はひどく歪んで……。そんな登場人物たちが、どのように生きてどのように破滅に向かって進んでいくのか。私は展開上ありえない未来を想像しながら、この話の終焉と滅びの歴史を見守りたいと思います。 一般的に受け入れがたい要素を複数含みますので、読み始める前にタグとあらすじのチェックをおすすめします。ただ、それだけで読まないのはもったいない作品です。