僕、妖狐になっちゃいました

TS、妖怪、僕っ娘…… 一見トレンドを追っているようで、この作品は『小説』としてのレベルが高い。文章ストーリーともにハイレベルだが…… いわゆる「強くてニューゲーム」「ストレス・フリー」な『人気なろう作品』から変化球気味にずれている。そのせいだろうか？ 他作品と比較すると「評価」が低かったように思えてならない。もちろんブクマは１６００を超え、人気作と呼んで差し支えない状態ではあるが……ちゃんと主人公が「中学生」。過去の出来事や自分の弱点を克服して、立ち向かってゆくストーリー。ただの変化球ではなくて、ある意味「ラノベ」の王道かも知れない。しかしそれを真正面から書き切った作者の実力は、素晴らしいの一言につきる。この作品は、なろうに溢れてる「小説のような何か」ではない。もう一度書く。これはレベルの高いライトノベル「小説」だ。――読めば、必ず分かる。

いじめられながら辛い日々を送っていた主人公の目の前に、突然開けた新しい世界それは何と妖怪たちの世界そして、主人公に現れた未知の力その謎は過去へ…表現が難しい一人称を上手く使いこなしているところに、作者の力量を感じましたまた、妖怪たちの間で揺れ動いていく主人公の心理描写や、徐々に明らかになっていく謎物影の世界にどんどんと引き込まれていきます何より、主人公の可愛さが際立ちます読み始めて、まだ最新話までは到達してはいませんが、幸い、これから年末年始です皆さんも、この冬、じっくり妖界を旅してみませんか？

戦いの先々で現れる毒親達。 強いが使い方を間違えると大変な事になる力。 より良い世界を作りたいという祈りが、私利私欲に汚れてゆく様子。 誰が何をするにも、とにかく過去のあらゆる因果が付いて回る作風は、ある種の強烈なスパイスとして機能します。 妖狐になる原因からして作品の根幹に関わる謎であり、それを取り巻く味方も敵も、それぞれの過去に縛られて苦悩します。 と同時に、過去で積み重ねてきたものを活かして助けにする場面も。 特にこれは、主人公の側に付いている人物にその傾向が強いです。 TSモノ特有の描写に目を奪われがちですが、もしかしたら裏のテーマは“清算”なのかもしれません。 過去から負債を残してきた敗者達の。 そして、未来を食い潰す悪者達の。

地の文がとても上手く、物語に引きこまれます。それだけではなく、主人公の苦悩、いじめの辛さ、そして優しさ（弱さ？）が伝わってきて、胸が熱くなる作品です。また、文がとても読みやすいです。話のテンポ良く、思わず次へ次へと読んでしまう作品ですね。また、時折入る笑いが絶妙で素晴らしいです。妖狐になった主人公の描写も可愛く、どなたでも楽しめる作品となっています。しっぽモフモフしたいです！w