冒険者組合は冒険者の冒険者による冒険者のための組合になる。商人の集う経済連合や政治家による政治結社等の団体と対等に、冒険者が取引できることを目的に作られた。その冒険者組合ノンペン支部にギルド『隠者』はギルドハウスを構えている。
勇者になりたくない少年ノイがいた。彼の両親は冒険者と呼ばれ、その子供のノイも冒険者になるために産まれてきた。父親は勇者と呼ばれる家系の出身で、その血筋は冒険に欠かせない『脅威』と常に対峙することから若くして命を落としていた。そのため、ノイも若くして両親を亡くしていた。そのことに対する反発心から、ノイは父親から受け継いだ『勇者』という称号に嫌悪感を抱いていた。
同じく冒険者の家系に産まれた魔導師のプロイがノイを冒険に誘う。プロイの家系も同じく短命で親類はいなかったが、プロイは自分の祖先が見てきた世界を観て、感じたいと考えていた。ノイは同意しなかったが、『脅威』と対峙することで、自分の腕を試してみたいと考えるようになる。
二人を導いたのはギルド『隠者』のギルドマスターを務めるグエンだった。ノイの両親とプロイの両親の四名で結成されたギルド『隠者』は、才能がありながらも機会を得られない若手の集うギルドで、グエンもその中の一人だった。その恩返しのために、若くして死んだギルドメンバーの子供に助力を惜しまない。
グエンは、亡き父親に対する反抗期のノイと、亡き母親が何を見たかったのかを知りたいプロイを主都ノンペンに誘い、冒険者組合の試練を受けるよう誘導した。
主都ノンペンで出会った、同じ境遇のレックと三人で、冒険者として認められるための試練を受ける。その途中で、レックが目標とする「祖先の汚名返上に関わる『脅威』」と出会い、プロイは終着点で目標としている「母の見た世界」に足を踏み入れることができた。
何も目指していなかったノイは、何も得られなかったことに虚しさを感じた。しかし、何かを求めたいという気持ちになるきっかけを得て、楽しいなにかを探すことにした。
ノイはそのなにかを探すため、終わりのない探求の旅に出た。
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