評価:★★★★☆ 4.2
とっくに廃業した元暗殺者の村に住んでいたシャノンは「三ヶ月後に死に至る」という先祖の残した迷惑な呪いを身に宿し旅をしていた。
目指すは魔術師が集まる港町サイアーズ。
さっそく魔術師協会で呪いを解く相談をする彼女だが、高額すぎる相談料が払えずに万策尽きる。「こうなったら呪いの発動まで有り金すべて使い果たしてやる!」と後ろ向きに開き直っていたところに現れたのは国で一番の魔術師ウィルフレッド・レイ。
「貴様だな? この街に怪しい魔術を持ち込んだのは!」
眉間にシワを寄せた不機嫌そうな青年に危険人物として保護(強制)された彼女は、ウィルフレッドの協力を得て呪いから逃れる事が出来るのか?
潔癖で神経質だけど心優しい魔術師ウィルフレッドと、呪いを身に宿したシャノンが一つ屋根の下で暮らし、互いの過去を知り、一緒に歩む未来を考え、解呪に挑むお話しです。
※2017年6月9日、別バージョンのエンディングを追加しました。
話数:全34話
ジャンル:
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:R15
『心清き者が幸せになり、醜いものは罰せられる。それが世界の理――――もちろん、本気でそう考えている訳ではない。けれども、たまにはそういう結末があってもいいと思うのだ』神経質だが心根の優しい魔術師ウィルフレッドと、健気で一生懸命なシャノンが織りなす後読感が爽やかな物語です。なろう作品にしては珍しく地の文が多めですが、筆者の高い筆力から生み出される丁寧な描写と、魅力的な世界観でぐいぐい読んでいけると思います。特筆すべきは、登場人物に焦点を当て、キッチリと掘り下げているところでしょうか。『キャラクター』という設定ではなく、『生きている一人の人間』として生き生きと登場人物が描かれています。個人的には、普段冷静なウィルフレッド先生が、シャノンのために館に乗り込むところとか最高でした。まずい、字数が足りぬ……!御一読いただければ、きっとあなたも暖かな気持ちになれることでしょう!