評価:★★★★☆ 3.9
――――我々はハイエナです、ご存知ですよね。
時給16万6千円。
現代の異世界、外資系名門証券会社ダリルリンチ・グローバー証券に入社した椎野憂。不安定でブラックな体質の会社でアナリストとして経験値を積む椎野が書いた一本のレポート。
リーマンショックによる日本法人の危機を救ったレポートを機に、椎野は投資銀行部へ引き抜かれる。椎野が1号案件の北日本旅客鉄道で見たものとは? そして北日本旅客鉄道の再生は?
(本作品はフィクションです。登場する人物団体などは実在のものとは関係ありません)
本編は、証券業界、鉄道業界のお仕事モノになります。
なお、難解な用語については、追い追い各話の後書き部分に※で注書きしていきます。どうぞよろしくお願いいたします。
話数:全40話
ジャンル:仕事もの
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:全年齢対象
まだ全部読んでないので私は良い読者ではないのだけども、筆致の確かさを信頼してレビューしたくなりました。少し読んだだけでも熱が伝わってくるのがステキ。リアリティについては私は経験ないのでただなるほどなーと感心。あと鉄道についても私は鉄道好きでも結局は趣味の段階の門外漢であるのだけど読んでいると私の鉄道知識でも確かだなと感じられる。舞台とする北海道の鉄道の苦境についての関心から読み始めて、第25部分の椎野がNR北海道の面々に浴びせる言葉がまたどアツいのにとても満足。「コストカットもリストラも必要ならすればいい。しかしその先にある夢や希望を語らないと、会社は社員にとって苦痛でしかなくなります」素晴らしい。様々な職場で起きている相互不信と職場崩壊を思いました。確かに待遇改善も大事だけど希望を持てる経営がなければどうにもならない。そのことをハゲタカに教わるとは。とてもアツくて素敵です。
みなさんは北海道の鉄道がどうなっているか、ご存知だろうか。そしていかにハゲタカファンドと呼ばれている企業が動いているか、ご存知だろうか。この小説はその二つを圧倒的な知識と想像力、そして情熱で結びつけた力作である。北海道の鉄道、NR北日本をいわゆる「ハゲタカファンド」のダリルリンチクローバー社の職員、椎野がパートナーのシャロンとともに資産価値をあげていく話だ。こう書くとすこし眉をひそめる人もいるかもしれない。しかし安心してほしい。主人公たちはまるでダークヒーローのごとく、守るべきはきちんと守る、常識人だ。そんな彼ら彼女らが活躍する場所は、これまた圧倒的なリアリティで描かれた外資系企業と鉄道会社。外資系に関しても鉄道会社に関しても正確に描かれており、息遣いまで感じられる。また鉄道ファンなら思わずニンマリしてしまうような話もたくさんある。ぜひこのリアリティとプロの仕事を味わってほしい。