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 川上日登美は、毎年行われる家族行事にうんざりしていた。それは、毎年夏休みに必ず家族四人で行く海外旅行だった。今年はなぜかハンガリー行きを言い渡され、日登美はさらにひどく落ち込んだ。
 向かう先の飛行機の中、うとうと居眠りしていると日登美は幼い頃からずっと見て来た悪夢にうなされる。「十六歳になったとき、全ての力を手にする」という三人の謎の男たちからの言葉をはっきりと覚えていた。そして向かうハンガリー旅行中に、日登美は十六歳の誕生日を迎えることになっていた。
 人間は輪廻転生を繰り返す。そして、そのほとんどが以前の記憶を持たないまま、姿かたちを変えて、以前の家族、友人、恋人たちと関わり合っていく。日登美は、こうして見知らぬ土地ハンガリーで自分の前世と対面することになる。
 遥か昔。戦いと貧困の世界に、突如強い力を持つ者たちが現れた。その力をめぐって、さらに戦いは起こる。生まれた頃より力がない者もおり、その者たちは貧窮な生活を余儀なくされていた。世界は平等だ、と権力者たちは言った。しかし、平等など存在しない。力を持つ者、つまり魔法を使える者にしか与えられないものだった。
 そうしているうちに、さらなる力を持つ者たちも現れた。この世界の中で、元々は同じだった一族はぷっつりと二つに分かれて、お互い押し合いながら生きていた。魔法を使う者たちをマーギア族、血を吸う者たちをヴェール族と呼んだ。
 日登美は、かつてこの地の最悪と呼ばれたヴェール族の王の娘として生まれた。悲壮な日登美の前世は、前世だけにとどまらず、日登美の人生にも影響を与えようとしていた。


話数:全35話

登場人物
主人公属性
職業・種族
  • 未登録

時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録

その他要素
注意:全年齢対象