呪術師とチョコレート。

幾層にも重なる甘さはチョコレート。 けれど襲い来る悪の者とのバトルシーンはバチバチと刺激的（物理）でまるでわたパチ。 そして、かつて憧れた青春のような甘酸っぱさは桜味。 可愛らしい恋愛要素はもちろんのこと、恋愛作品といえども決して手を抜かず丁寧に描写された戦闘シーン。その戦闘スタイルはそれぞれのキャラクターの持ち味をこれでもかと引き出す最高の食材。 現実にある呪術を踏襲して練られたオリジナル設定や怪談話は説得力も迫力もある安定した調理器具で、節々に挟まるギャグは読者を飽きさせない調味料。 溶け合わないように見える要素全てをふんだんに盛り込んで、なのに最高に美味しい仕上がり！まさにこの物語でしか作り出せない味です！ ライトで読みやすい文章のお皿に盛り付けてあります。どうぞ召し上がれ！

不運体質の地味女子高生が、呪術師四兄弟とともに怪事件に立ち向かう。登場する四人の僧侶（！）は個性豊か。クールビューティにビジュアル系、ニヒルなツンデレと小悪魔美少年――各々のエピソードがコミカルに描かれる前半は実に楽しい。しかしこの作品の真骨頂は後半部分にこそある。彼らの受けた依頼が大事件へと発展するのだが、その過程で発揮される四人の個性はむしろ前半よりも躍動する。深い陰影が刻まれ、人間としての立体感が増していくのだ。読者はヒロインと一緒に手に汗握って彼らの戦いを応援することになるだろう。本作は恋愛ジャンルに収まりきらない。伝奇ホラーでありバトルアクションであり、ホームドラマの要素も含みながら根底にはヒロインの恋心がある。様々な要素をまとめ上げる表現力は凄まじく、それでいて軽やかさを失わない筆致はお見事の一言。現在、展開は最高潮を迎えている。息を飲んで完結を見守りたい。

単なるイケメンハーレムはもう飽きた！という皆様に贈る、平成の世の呪術師ラブコメディ。しっとり和服美人な長男に、神経質なヴィジュアル系次男、高校のちょっと意地悪な先輩である三男に、ジャニメンアイドルな可愛らしい末っ子。よりどりみどりなイケメンたちがあなたを待っています。もちろんそこは知る人ぞ知る呪術師四兄弟、実力は折り紙つき。ほんのりオカルト要素はあるものの、怖いものが苦手な方でも大丈夫。むしろ、このオカルト要素がラブコメディの甘さを引き立ててくれます。あたかもチョコレートの中に混じるほろ苦さのように。不運体質の地味系ヒロインと、麗しい呪術師四兄弟がつむぐラブコメディ。さああなたも平凡な日常から離れて、極楽へlet’s go！