評価:★★★★☆ 4.4
柚木美優(ゆのぽん)と、篠原和馬(しのりん)。
ふたりは、いわゆる「腐仲間」。
ふたりには、よく似ているけれど本当はとても違っている秘密がある。
それでもふたりは仲良しで、放課後や休日にはいつもどこかへ出かけたり、夏や冬の大きなイベントには一緒に参加して過ごすのだ。浮遊するふたりのその先には、何があるのか。
そんなことを、筆の向くまま書いてゆく所存です。家庭内暴力、児童虐待、鬱病、自傷や性同一性障がい、「腐女子」「腐男子」に関する様々の描写があります。
なお、この作品を書くにあたり、作者は決してこうした人たちのことを興味本位にとりあげているつもりはありません。
クラスに数名は必ず居るとさえ言われている人たちのこと、なるべく誠実に描けたらと考えております。※カクヨムにても同時公開。
話数:全40話
ジャンル:
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
語り部の僕、ゆのぽん。とっても可愛くて繊細な、しのりん。どこか不器用で、けれどまっすぐなサッカー少年茅野。この高校生3人を軸に物語りは展開していく。ひとと違う自分を抱えて生きている、ゆのぽんとしのりんの葛藤が胸をかきむしる。本当の自分を家族に隠し。学校に隠し。時に恥と思い、時に逃げ出しそうになる。そんな彼らの声はあまりにもリアルだ。まるで彼らが目の前にいるような錯覚さえ覚える。消えたいと思いながらも、生きたいと願ったしのりん。アホな奴らに振り回されるなと言う茅野。それでも僕は僕でいいんだと思うゆのぽん。僕らはひとりで生まれてきた。矛盾がある。悩みがある。どうしようもない現実がある。けれどこうして君たちに出会えたからこそ、まっすぐ前を向いて進んでいける。信じ合える友情は奇跡であり、力を生む。彼らの未来に幸多かれ。そう願ってしまう物語りです。
「普通そんなことしないでしょ!?」そんな風に、子どもを叱ってしまうことがある。でも、普通ってなんだ。たくさんのサンプルを全部足して割ったら、それが普通?けれどその「普通」の元になった一つ一つのサンプルは、それぞれに特徴があり、あちこち欠けたり出っ張ったりしているはずだ。容姿も普通。性格も普通。勉強も普通。家庭も普通。そんな~ BEYOND THE AVERAGE ~(わからない方すいません)みたいな人間がいたら、そっちのほうが珍しいのかもしれない。この作品に出ててくる少年少女たちは、みんな多かれ少なかれ「普通ではないもの」を抱えている。そして悩む。でも、だからこそいじらしくて可愛らしくて――どうか幸せに! そう祈らずにはいられないのだ。「普通でないものを抱えている」それって、実はけっこう「普通」なんだよ。このお話は、そんな風に優しく背中を押してくれる。
男なら女を好きになるのが普通で、女なら男を好きになるのが当たり前。母親は子どもが大好きだし、父親は子どもを庇護する。子ども同士は和気あいあいと過ごすはず。世の中の思い込みは、マイノリティや家庭内の弱者の声を容易に踏み潰す。人が誰を好きになるかなんて個人的な問題で、誰かに指図されたり、矯正されるべきものではない。世の中には毒親だって存在する。家族だから分かり合えるはず、虐待や性的いたずらなんてあなたの勘違いで、ちょっとオーバーなスキンシップなんて言えるのは、それが所詮他人事だからだ。立ち向かえなんて私には言えない。どんなに頑張っても、分かり合えない人間だってこの世の中には存在する。それは友達の皮を被っているかもしれないし、家族という名前を持っているかもしれない。だがあなたの心を傷つける奴なんか、気にする必要はないのだ。信念を持ち、距離を保つことは決して逃げることと同義ではない。