評価:★★★★☆ 4.3
――少女は今日も同属(なかま)を殺して生きていた。
少女は旧式(オールド)と名乗っている。
機械人形(メタル・ドール)と呼ばれる元軍用の兵器だ。
現在は『興行』と呼ばれる機械人形同士の殺し合いに参加し、日々の糧を得ていた。
いつ終わるとも知れない暴力の町で、少女は今日も愛銃を手に戦い続けている。全ては明日を生きるためだけに。
※第一章は2011年ごろにmixiにて掲載した作品を『小説家になろう』用に改行、再編集した物語となります。
話数:全24話
ジャンル:
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
生きること。それは綺麗なようで、実はかなり泥臭くて、汚いものだ。そしてかなり怠惰なものだ。でも綺麗で、暖かいんだ…この小説は一人の戦闘用サイボーグの目線を通じてそんなメッセージを投げかけてくる。主人公は旧式、ということでオールド・ロリータと名乗る。彼女の過去は消え、未来も危うい。そんな彼女は必然的に現在いまここを歩み、暮らす。未来に大きな希望も、今への深い満足感もない。だけども生きている。でもこのことが実は幸せで、暖かく感じられる。そのことが読んでいてとても愛おしく、切ない。そんなことをロリータ(オールド、と書かない理由はぜひ読んでほしい)はなにも言わずに語るが、その姿は本当に素敵だ。またロリータはプロレスのような競技の選手であるため、戦闘もする。その姿はまるで蝶のようで素敵だ。そんなかっこよさと、ニヒルさの詰まったこの小説をぜひ読んで見てほしい。きっと今を生きよう、と思えるだろう。
遥か未来の星を巻き込んだ戦争。物語は終戦を迎えた未開惑星で始まる。歓声が。悲鳴が。破壊がそこにはあった。人間の生体脳を搭載した機械人形・旧式少女(オールド・ロリータ)。機械の身体をした少女は、殺しを見世物とする見世物小屋で、生きる為に同じ機械人形を殺している。生きる為の保証が適用されず。生きる為の法が適用されず。生きる為の倫理が適用されない少女は「生きる為」それを支えに見世物であり続ける。もし、法も倫理も生きることも許されなければ? オールド・ロリータの生き方を読んで欲しい。生きる事の難しさ。旧式少女(オールド・ロリータ)の強さが。彼女は何を選んでいるか。何を捨てているか。何処に辿り着くのか。最後に彼女はどうやって死ぬのか。彼女の結末は幸せなのか、この作品を最後まで読んで考えて欲しい。