邪竜の騎士は高らかに愛を謳う 完結日:2017年10月2日 作者:赤崎桐也 評価:★★★★☆ 3.9 愛の熱に浮かされた若き騎士ブレウスが、邪竜と魂の契約を契り、最愛の姫を求める時―― その国は歴史に幕を下ろす。 「黒竜、決着をつけよう。僕達でこの国の悲しい事を全部、終らせてやろう。シルヴィアがこれから、笑って新しい一歩を踏めるように」 ※ファンタジー世界のロマンスを、少年漫画的展開で煮詰めたものです。ご注意を。 話数:全13話 ジャンル: 登場人物 主人公属性 男主人公 職業・種族 未登録 時代:未登録 舞台:未登録 雰囲気:未登録 展開:未登録 その他要素 全て善し 剣は投げるもの 年の差 爬虫類萌え 異種族 終わり良ければ 身分差 龍 注意:残酷な描写あり なろうで小説を読む
王道というものは、つまりは「読者が求める終着点を叶える」為のテンプレートです。 そこに至るまでの道は紆余曲折あれど、読み終えた後には一様にこう思うのです。めでたし、めでたし、と。 この「邪竜の騎士は高らかに愛を謳う」も、その点王道であることは疑うべくもありません。一人の男が英雄たる活躍をし、愛しい姫君を救うために頼もしい仲間と共に闘う、そんなお話です。 その帰結は言わずもがなですが、敢えてここでは触れずに置きましょう。 その上でこのお話が胸を打つのは、赤崎桐也氏がとことん、書きたいだけの熱い状況を盛り込み、そして終局まで弛むことなく書き連ねた結果のように思います。 まずはご一読ください。一人の姫君の悲壮な決意から始まる、激情も愛も熱さも全てを叩き込んだ素敵な活劇が待っています。 私は一足お先に楽しませて頂きました。皆様も、是非。
まさかなろうでこんな小説に出会えるとは思っていなかった。話の筋はいたってシンプル。なのだけれどそのシンプルなストーリーの中に築かれた人々の愛、憎しみ、悲しみ。そして微笑み。悠久の時が紡ぎだす、精霊と竜と人が作り出す遠い伝説。それはあたかも大河のように、物語の中を堂々とさえいえる風格を持って流れていく。だからシンプルなストーリーであるにも関わらずキャラ達がまるで生きているかのように感じ取れるのだ。鎧のぶつかり合う音が。剣のぶつかり合う音が。救うべき美姫の涙が零れ落ちる様が。美姫の涙を想い、奮戦する騎士の姿が。タイトルで、リュートと笛と言ったがそれは読まれる方のセンスにお任せしようただし、今風の軽いBGMが似合う小説ではないことは断言させていただこうさあ、どうか読んでもらいたい。そして己の糧として頂きたい。そんな小説である
この物語は王道をこれでもかと踏襲していく物語であると思う。少年漫画的な王道展開と中世ファンタジーのラブロマンスが理想的な形で融合している。この2つの両立は、すなわち男性女性どちらの視点から見ても素直に楽しめ物語の中に入っていけるという事だ。冒頭は亡国間近の姫君が引っ立てられ主人公の姉が阻止しようとするが叶わず姉が主人公に望みを託すところから始まる。同時に敵もまた一筋縄ではいかないところがまたいい。これは純粋な力量だけという話ではない、敵である者たちが語る信条や思想に反発を覚えつつも一面において賛同してしまう。だからこそ主人公であるブレウスに私は願う。ブレウスよ、このままならない現実を突破し、囚われのお姫様を見事救い出してみせろと……正義だ、悪だ、そんな2元論など知ったことか!男一匹、愛の為に生きて何が悪い!!愛の為に駆ける男にあなたもきっと魅せられる事だろう!