評価:★★★★☆ 4.1
僕は、空を描くのが好きだ。何も考えず、ただじっと、目の前にある空を僕の手元に落としてくる。それだけで僕の心は落ち着いて、満たされていた。
彼女は、僕以上に空が好きだ。空を掴み取って、食べてしまうほどに。僕たちは、空を飛べない。手元に写して、咀嚼して。心を満たすことしかできない無力な弱者だ。ただの子供だ。
僕と彼女の、夏休みに入る少し前。小さなクソガキの小さな反抗期。でも僕たちにとっては、大きな大きな人生の分岐点となった。
話数:全13話
ジャンル:
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:全年齢対象
この作品の主人公は、思春期の学生です。大人のように世の中を俯瞰的に見たり、諦観したり……そんなことまだ出来ない、繊細な子どもです。彼が抱える「ある悩み」は、彼の心の中心で、存在感を放ちながら居座り続けます。そんなある日に出会った、ひとりの不思議な少女。彼女との出会いが、彼の価値観に大きな変化をもたらします。ーーこの作品の魅力は、何よりもその透明感のある世界観です。青空という爽やかなテーマ、レトリックに優れた文章力、切ないボーイミーツガールの設定が、紛れもない透明感を生み出しています。切なく、考えさせられる内容ですが、希望に満ちた読後感となっていますので、ぜひご一読を。
★いわゆる『日常世界』に『非日常』が入り込み、主人公とその周辺が徐々に変わっていくというテイストのコンセプトの作品★文章としては丹念かつソフトで非常に読みやすい。なにより主人公の彼の心情が青い空の色のように読者の認識に入り込んでくるのはある意味心地良いくらいだ★この『日常世界』に『非日常』が入り込む――と言うジャンルは『日常がどう変化していくか?』と言う点をどう演出するか? で方向性がガラリと変わる。メルヘンにも、フレンドリーにも、ラブロマンスにも、そして〝残酷〟にも――★理不尽なヒステリックマザーに辟易し疲弊している主人公。私生活は自由はなく、逃避として学校の屋上に逃げ場を見つける。だがそこで〝空を喰む〟少女にであう。奇妙な少女の存在に戸惑いながらも少しづつ主人公に変化が現れる。その少しばかりの変化を種にして、彼は少女の〝願い〟を叶えようとするが――★この続きの発表を心から待つ