ヌーヴォー・アヴェニール　

口は悪いけどポジションは天龍様に認められた愛し子で、国を救うヒロインもしくは聖女様。ただアホで無能の婚約者である第二王子に毛嫌いされ孤立し、雑務を押し付けられる日々。そんな中、卓越した魔力と知識、剣技を持つクロエが、色々な方々に認められていくが、それに全く気付かず、クロエが好意を寄せていた第一王子を亡き者にした第二王子派、及び王家自体を破滅させるため動いていく大公家・・・どんなに頑張っても世間にクロエの功績が日の目を見ない悲しいヒロイン。胸が締め付けられますが、クロエの幸せを願いたくなるストーリーに注目です。

なろうに悪役令嬢ざまぁ婚約破棄は数多くありますが、掘り下げかた、内容の厚み、ポツポツとでるざまぁ、なにより作者のヘイト管理のうまさ。構成の巧みさが光る作品です。レビュー書いている現在終わってはいませんが今からおきるであろう壮大なざまぁに期待。 主役ヒロインのヒロエ嬢の健気さ、高貴をわからないざまぁ対象になる王家や敵対視する貴族たちの傍若無人な振る舞いにヘイトが貯まりますが、文章力の高さによりそれほどイライラすることもなくサクサクとそれでいて深く、濃く、それでいて楽しく読める作品です。すでにパターン化されつつあるゲームなどへの悪役令嬢転生とは違う本格派悪役ざまぁとなっており、「転生飽きた」というかたにまずこれを見ろ。とおすすめします。

クロエに取って、強いお爺様とお婆様は誇りであり、見習うお手本でした。そして、お爺様から武術の型を習い、お婆様から魔力の鍛錬法を習った少女はとんでもないチートでした。そのまま開拓地で育った方が幸せだったんだろうなと思われます。本人も開拓地に戻りたがっているのに、大公家養女となって大公家の面子の為に苦労する日々。対人関係では成り上がり者と貶められっぱなしです。しかし、話が進むに従い、仲間が増え、対人スキルも上がりチート全開に。ふと、大公家養女に成らなかったらとアナザーストーリーを考えたくなる。そういう作品です。

見習いたい生きざまです。辺境地区で命を謳歌し、貴族のあり方、命の尊さ、感謝の気持ちを学び『誇り高く穢れなく生きること』座右の銘にする主人公クロエ。彼女の成長と、国を牽引する王家の在り方が問われる壮大な物語です。魔物が跋扈し、精霊と契約竜が存在する世界。辺境周辺は常に命のやり取りがされている。主人公クロエは複雑な血筋故に庶民生活から大公爵令嬢となった。国の在り方、貴族の責任、民を守り、幸せに生きるために日々研鑽し、戦っている。その姿は美しく哀れでならない。是非、お読みください。『誇り高く穢れなく』が心に染みます。