評価:★★★★☆ 4.3
悪魔と呼ばれる七才の少女、ヒイラギ。
彼女は、無限の命を持っている。
彼女に触れれば、あらゆる人間の病が治り、身体が再生され、死んだ者もよみがえる。だが彼女は、魔物を呼び寄せてしまう。
魔物たちも、彼女の力が欲しいのだ。十四才の少女ショウビは、十才の少年クロとともに、彼女を守るため、魔物どもや人間たちを抹殺していく。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
2018年1月に「角川スニーカー大賞」で一次落選しました。
話数:全24話
ジャンル:異能バトル
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
その娘は悪魔だ。と誰かが言った。不死の存在であるその少女の名はヒイラギ彼女に触れたものは、たとえ体を粉砕されても蘇る。そんなヒイラギに向けられる人々の愛。彼女をずっと守ってきた人々の切ない願い。その愛の中には、よどみも苦みもあるけれど、だからこそ深いのである。上っ面の愛情ではないのだ。きれいごとの愛ではないのだ。もがき苦しみたくなるような愛なのだではタイトルに戻るグロとは、深い愛の上に成り立ってこそ際立つ。そうでなければ、どんなに残酷なシーンも他人事になってしまうからだ。だから私はこの作者のセンスと実力に感嘆しそしてひそかに恐怖すら感じるのである。グロテスクをグロテスクと感じさせるのがどんなに難しいのか。それをやってのけた作者様に完敗である
この作品を表現するなら優しくも残酷な世界だろうか、悪魔と呼ばれ畏れられる少女ヒイラギは本来は巻き込まれてしまった無関係の人間を助けようとする心優しい少女だった。しかし、この無慈悲な世界は彼女がほんの少し珍しい力をもって生まれた少女であることを許してくれなかった。冒頭から息をつかせぬ怒涛の展開と過去の時間軸に視点が移ってからの半鎖国状態の集落の中で生まれる穏やかな時間、そしてそれが無残にも破壊されていく模様。小さな少女にこんな地獄で正気を保てというのも土台無理な話だろう。だからこそ、哀れに過ぎる悪魔を守るためにもがき続けるクロとエキセントリックなショウビがこの物語の中で生きてくる。一切先を予想することが不可能なこのお話は、読者に絶えず続きの欲求を抱かせる。出来れば、これをご覧のあなたもこの不思議で残酷で優しい世界の魅力に取りつかれてみては如何だろうか?