評価:★★★★☆ 4.3
東京21:18発、新大阪行のぞみ69号。一昔前には「シンデレラ・エクスプレス」の名で知られた新幹線最終便では、今も変わらず愛が運ばれている。解けない魔法を願う恋人たちをのせて、カボチャのままの馬車は走り続ける。
■Generalmajor der NVAさま企画の【鉄道記念日奉祝企画】参加作品です。(鉄道に関連した作品を、10月14日鉄道記念日に合わせ公開……ですが、諸事情で大幅に遅刻しました)
■登場人物の一部は、シリーズ番号[S8314D]【シャッフル!】のキャラですが、単独でお読みいただけます。
話数:全2話
ジャンル:
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:全年齢対象
距離というものは恋愛のとって天敵である。少し距離が離れただけで別れてしまった恋人達を自分は知っている。本当に些細な距離であったとしても恋愛というものは破綻してしまうことが多いほど脆い存在だ。それが遠距離となれば、さらに困難な恋路になることは容易に想像ができる。そのような人たちを乗せて走る新幹線は今日もきっと走っていると思う。現代の遠距離恋愛は、劇中の時代よりも新幹線が高速化された分、楽になったのだろうか。ほとんどの人がスマートフォンを持つようになり、連絡も容易にとれるようになった。それでもきっとシンデレラエクスプレスに乗る人の存在は消えていないだろう。手に触れられる距離よりも代えがたいものなどないからだ。今日も新幹線は人生を走り続ける。
シンデレラは十二時の鐘で帰らなければならない。有名な童話だ。だがこのシンデレラはお話の中の存在だけではない。今の時代でもシンデレラはいる。遠距離恋愛という、見えない絆を頼りに、日々生きる若者だ。苦労しながらも遠距離恋愛をしている、男。おなじく遠距離で愛を繋いでいる、女。お互いの相手は遠い。たまたま新幹線で隣り合ったが縁の始まり。お互いの成果を語り合うようになった。想いあう気持ちはお互いに知っているが、距離という現実が悪魔の囁きをもたらす。この、お互いの長距離恋愛を心配し合う男女は、如何なる答えを出すのか。是非、読んで欲しい。時代設定は少々古いが、遠距離恋愛は現代でも続いている。今も昔も、恋と言うものは、大変なのだ。そして本編が終わった直後のあとがき。痺れる言葉が待っている。こちらも、見逃さずに。