評価:★★★★☆ 4.3
"魂殻"と呼ばれる特殊な力を持った者たちの集う学園に、一人の少年が転入してくる。転入生の名は七崎悠真。力を持つほとんどの者が武器や鎧の形として発現できる魂殻。だが、悠真は右手と左足にしか魂殻を発現できなかった。武器の発現もできない。にもかかわらず、悠真は魂殻に頼らず圧倒的な戦闘能力を見せつける。そんな悠真の正体は、名も、年齢も、入学時のデータとは違う人物であった。彼の本来の名は――真柄弦十郎。かつて伝説の傭兵として名を馳せ、数年前に忽然と姿を消した男である。特別な力を持つ少年少女の通う学園に、七崎悠真の身体を借り、とある少女のボディガードとして"蠅の王"が足を踏み入れた時――再び、世界が動き出す。これはかつて"ベルゼビュート"と呼ばれた最強の男が、最強を超える物語。 ※本編完結
話数:全133話
ジャンル:
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
作者は「聖樹の国の禁呪使い」を書かれた人物といえばピンと来る方も多いと思う。派手さはないが成熟された大人の主人公の視点から書かれた文章は、読み手に対して静かな迫力を与えてくれるだろう。相変わらず、戦闘シーンにおける緊迫感も非常に優れたものだ。それにしてもなんと魅力ある主人公なのだろう。安易な設定で塗り固められた気のいいおっさんキャラでもなければ、大上段に構える説教じみた大人でもない。数多の戦場を渡り歩いた伝説の傭兵というバックボーンを持つ、タフな人物がこの物語の主役だ。そんな翳のある男が一人の女学生の警護のために姿形と身分を偽って、ただの一学生として学園に転入してくるわけだが、内容を端的に表現するならば、小池一夫的ハードボイルドな雰囲気と硬質な色気を漂わせたラノベ作品といったところであろうか。とにかく、真柄弦十郎の織り成す生き様に痺れさせられた。私にとってはそんな作品だ。
主人公が体を入れかえることができる、という要素を入れることでいわゆる学園モノのフィールドと、大人の体でのハードボイルドな世界観とが綺麗に両立していました。ヒロイン達とのやりとり、主人公の戦闘シーン、落ち着いた雰囲気を纏う主人公の七崎悠真として、真柄弦十郎としての各描写、それぞれのパートがそれぞれ魅力を持っています。キャラクターも決して多いわけではありませんがそれぞれが個性的です。まだ膨らませそうなところを匂わせて残しつつも、それぞれのパートを綺麗にまとめて完結されています。続きもあるとすれば一旦切れた形で続きそうです。最近読んだ中で1、2を争う面白さでした。特定のジャンルが好きな読者に限らず、どんな人にも楽しんでもらえる作品かと思います!是非読んで見てください。
序盤は、決して能力に恵まれてはいないものの最強主人公による青春学園ストーリーからの、中盤以降のハードボイルドな雰囲気が溢れ出る文字通り最強主人公によるバトルストーリー。作り込まれた世界観と、クセはあるけど各々の信念を以た登場人物達はとても魅力的で、最後まで一気に読ませるパワーがみなぎってました。あらすじ通りの最強が最強を越えるラストバトルまでの道程と、主人公と登場人物達のその後までをしっかり描いて頂いた事で、全ての伏線をしっかり回収してスッキリ纏まっています。気軽に読むと云うよりは、じっくりと腰を据えて、内容を噛み締めながら読む作品だと思いました。そんな骨太な世界観がお好きな方には絶対オススメです。
最初は主人公が無双するようなそんな感じの話かと思いましたが、様々な人の様々な思いが入り交じっていて読み応えがありただ主人公が強いだけのものとは違うなと考えさせられました。これからの展開も気になるところで、真柄がこれから七崎としていくのか、それともベルゼビュートとしていくのか、物語自体はどのように進むのか気になりました。作者さんもお忙しいと思うので無理はなさらず更新をお待ちしております。