評価:★★★★☆ 4
100年に一度という大雨に見舞われた農家のケンディ氏のもとに、青いバラの研究者であるバック氏が訪れた。
バック氏は、ケンディ家の生活を安定させることを条件に、ケンディ夫妻のもとに生まれたばかりの赤ん坊ラッセルの遺伝子を、彼の娘にコピーさせて欲しいと持ちかける。
ケンディ夫妻は喜んでラッセルの美しい容姿の遺伝子をコピーさせ、バック氏の娘リリィはすくすくと美しい子に育っていった。
しかし遺伝子をコピーさせただけのラッセルの身に、日に日に変化が訪れていく――。ヒトに使うことを許されていない遺伝子組み換え技術によって生み出されたラッセルとリリィの、絡み合う運命の行方とは。
※星野青明2016
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話数:全24話
ジャンル:
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:残酷な描写あり
人間に対して遺伝子組み換えが行われるというショッキングな幕開けをするこの作品ですが、読み進めるにつれ、この作品が、生きていくことの大切さを教えてくれるとても温かいお話だということに気付かされます。 人の見た目の美醜、というのは人生における重要なテーマながら、創作ではあまり扱われないように思えます。かくいう僕も、気が付くと登場人物を皆美男美女にしていしまっているので、悪しき風潮に加担しているといえるでしょう(苦笑) しかし、この作品の主人公、ラッセルは遺伝子組み換えの悪影響によって、ちんくしゃとなってしまいます。親と似ていないことを含め、見た目のことで悩みながらも、自分の関心のある分野で努力し、必死で生きていきます。彼の生き方が、私たちを励ましてくれます。 子どもに読ませたい作品です。学校の図書館に置きたい!
青いバラ-blue rose- というタイトルの作品。サントリーという酒造メーカーが、バイオ技術を駆使し20年以上の歳月をかけて、2008年に販売を開始したニュースは当時大きな話題となりました。それに着想を得てかかれたという本作は、貧しい農家だが顔が美しい遺伝子を持つケンディ夫妻と、遺伝子研究者だが顔が醜いバック夫妻との間で違いの遺伝子を移し替えた子供を授かることで始まります。どうやらプロフィール等を見ますとお若い著者さんのようですが、若い人が書きがちなアニメのコピーみたいな作品ではなく、題材に科学を選んだこと、きちんと論理的に背景を書こうとしている姿勢は大変好感が持てましたし、素晴らしいことだと思いました。その逃げない姿勢、論理的であろうと努力できることこそ、作家の資質の一つではないかと思います。ぜひこれからも書き続けて欲しいです。