評価:★★★★☆ 4.2
僕-宍戸絃次郎がサポートする民俗学者-飛鳥井倫瑠は,引きこもりである。
海神伝説の調査のために訪れた巳織村で,僕は屋外で民俗学調査に,倫瑠は屋内でネトゲに精を出す。
その村で起こった殺人事件。被害者がダイイングメッセージで名指しした犯人は,海神「ミズムシイタルコ」だった。
その事件を皮切りに次々と村人が殺されていく中,村長はある提案をする。
「この村一番の美少女を決める総選挙をしようかのう」
引きこもり民俗学者が,限られた情報と学術的知見によって事件の真相に迫る,本格派探偵小説(自称)。
話数:全32話
ジャンル:
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:全年齢対象
所謂『普通の』本格ミステリとは一味違う。 かといって『ライトな』ミステリにしてはあまりにも本格な、そんな作品。 コメディ作品も投稿されている作者さんだけに、軽快なテンポの会話のやりとりでもって『引きこもりの民俗学者』という矛盾した存在を、こきつかわれる『助手』を、取り巻く環境や人々を描写し、作品世界に読み手を誘ってくれる。 そうして起きる難事件。不可解な謎が次々とやってくる異常事態。 引きこもりの民俗学者がとてつもなく重い腰を上げて…… そこで気づく。偶然ではなく必然であった事に。 辺鄙な漁村。閉鎖的な状況。目に見える事実が真実とは限らない。 そんな複雑な謎を解くには、この探偵(役)でなければならない事に。 謎解きは本格ならではのロジックで、現実味と説得力を帯びた動機は見事の一言。 この事件の真相、またその後の結末を、是非読んで確認していただきたい。
完結しました。最後まで追いかけた、非常に面白い推理小説でした。文体は一人称。引きこもりネトゲーマーの民俗学者の変態(?)助手視点のとてもコミカルで読みやすい文章でした。「推理小説はここでは流行っていないから」と読まずにいるのはもったいない。どんな物語にも読者を引きつけるキャラと、謎がつきものです。それを作り上げるのが毎度うまいなぁと思います。当たり前ですが殺人には理由が必要であり、『人が死ぬ』ということにも必ず理由が必要です。どんな物語でも、推理小説ではなくてもそれは絶対条件だと思います。それには過去だったり、人間関係、複雑な心理が絡みます。参考にするなら推理、ミステリ小説という方も多いと思います。そういうものを面白おかしく学べる、ライトで面白いコメディ推理小説、そんな感じで読んでもいいと思います。最後に民俗学というテーマ、これもちゃんと意味があるものでしたよ。
まずは皆様。この作品の作者様のお名前を、ご存知ですか?そう! 菱川あいず 先生です!この作者様の著書に「殺人遺伝子」という作品がありますが、これは興味深い面白さのある、真剣なミステリです。しかし。この作品は、それとはひと味違います。これはジャンルで言えば、ミステリ+コメディ みたいな感じです。略して……テリコメ?←笑える、そして興味深い面白さ。しかも皆様、タイトルを振り返ってみてください。「引きこもり民俗学者と漁村連続殺人事件」引きこもり民俗学者? 漁村連続殺人? 後者は確かにミステリっぽいけど、民俗学者ってどう関係してくるの?……ほら、気になってきた。そして1話読んでしまったら、あなたはもう、菱川あいずワールドに魅入られてしまうのです。レベルの高い、なろうミステリ。これこそ今、あなたに読んでほしい逸品ですよ!