評価:★★★★☆ 4.4
真白には一か月前に行方不明になった桜井紗那という幼馴染がいた。
紗那を探すために、彼が最後に見られたという裏山へと、ある日彼女は思い立って向かう。
裏山には小さな氷穴があって、行ってみるといつもと様子が違っていた。
奇妙な眩暈を感じて氷穴を出ると、そこは時間を遡った昔の日本だったのだ。
過去の日本で真白は紗那を見つけるが、彼は源義経の身代わりとして危険な日々を過ごしていて、容易には現代に帰ることが出来なかった。
真白はなんとしても紗那と一緒に現代へ帰るために、何度もタイムスリップを繰り返す――
21話で終わります。別名義で二重投稿しています。
話数:全22話
ジャンル:タイムトラベル
時代:平安時代
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:全年齢対象
私はこのなろうという作品において、所謂タイムトラベル小説というものに手をつけたのは本作が初めてである。しかし、初めてがこの作品で本当に良かったと思っている。そもそもこのジャンルを、なろうで手を付けなかった理由は我々のようなアマチュア小説家にとっては、本当に難しいジャンルであると思っていたからだ。高度なSF理論、時代考証、登場人物たちの感情や行動、歴史返還や歴史修復に対する倫理観、非常に多くの要素がタイムトラベル系小説には求められるが本作は実に見事にこの課題をクリアしている。主人公たちの行動にはしっかりと感情移入しやすいし、説得力がある背景も十二分に充実している。個人的には、彼らの歴史に対する責任感とでも言うべきものが本当に素晴らしいと感じる。商業作品にも見劣りしない実に見事な傑作に仕上がっている。この言葉の意味は是非、ご一読の上でお確かめいただきたい!