評価:★★★★☆ 3.9
「結婚式専用」の無人島に,結婚式のリハーサルのために訪れた藪坂仁太と来栖奈加子。
2人の幸せな門出を邪魔する殺人事件。死体のそばに置かれていたのは,見慣れない植物と,「私は,私の母を殺した奴を幸せにはできない」と書かれた紙片だった。
外部者の出入りが不可能な「クローズドサークル」で起きた事件。犯人候補として浮上してきたのは,驚くべき人物だった。
ラストにどんでん返しあり。
話数:全9話
ジャンル:
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:全年齢対象
この作品の骨子は簡潔明瞭である。 絶海の孤島。不思議な殺人植物。謎めいたメッセージ。落語の三題噺のようでもある。 登場人物も極僅か。把握が面倒な人間関係も必要最低限。 何よりこの作品には明確な『探偵』が存在しない。 これは即ちミステリが持つ「作者と読者の知恵比べ」という『側面』を『前面』に押し出す事に他ならない。 ミステリによくある『読者への~』等と銘打ってはいないが、確かに『挑戦状』の意味合いを持っている。 動き出した物語は、まるで良質のアクション映画やパニックムービーを視ているかのような、そう「序破急」とでも称するべき展開が待っている。一気呵成に進む事件。次々に降りかかる謎。訪れる驚愕のクライマックス。気付いたときにはもう遅い。きっと心地よい敗北感を味わえるだろう。 孤島の惨劇とその真相。反転する世界はタイトルの意味まで変える。全てが味わい深い作品。是非ご一読を。
無人島に設えられた教会で、新郎新婦とスタッフたちは、ただならぬ事態に突如、陥ることとなる。 猛毒の殺人草、「ギイヌグサ」による最初の犠牲者……そして見つかる犯人と思しき者からの告発文……「私は,私の母を殺した奴を幸せにはできない」 次々と浮かび上がる犯人像、そしてまた一人、犠牲者が増えていく…… 真相は何か。真犯人と、その意図は果たして。 突きつけられるのは、人としての資質。 裁かれるのは、その資質なき者。 ……それでも君は、「愛してる」と言う。