王立魔術師憲兵日誌～歪んだ正義に公正なる裁きの鉄槌を～

「才能を失いプライドを傷つけられても、命を懸けて守りたいものがある」

魔法の暴走で、若返りの呪い（二十六歳・青年→十歳・少年）に掛かり、魔力までも激減してしまった不遇の天才憲兵魔術師エフェルローン。

そんな失意のエフェルローンを待ち受けていたのは、日頃から彼をやっかんでいた上司や部下からの陰湿なイジメであった。

表面上はクールに振舞っているものの、精神的にも肉体的にもぼろぼろの日々。
たった一人の家族である姉が唯一の心の支えであった。

そんな中、一人の新人がエフェルローンの部下として配属される。
大学を飛び級し、主席で魔法大学を卒業した期待の新人――ルイーズ・ジュペリ。
性格に少しズレはあるものの、育ちも良く、率直で正義感の強い彼女は、とある有力貴族のごり押しで憲兵庁に投入されたらしい。

「上手く使え。殺すなよ。僕の出世の為にもね……」

権力の意図（悪意）をひしひしと感じながらも権力には逆らえず渋々引き受けるエフェルローン。

そして起こる、魔術に関わる殺人事件。

その事件を発端に、エフェルローンたちは、ある人物が関わる大きな陰謀へと巻き込まれていく。

忖度のある審判か、それとも大義ある死刑（リンチ）か。
本当の正義とは、公正とは何か。
人間の真の強さとは――。

才能と尊厳を奪われた、天才魔術師エフェルローン。
ありったけの意地となけなしのプライドと癖の強い仲間を武器に、理不尽という名の悪に挑む。