僕は『彼女』を愛せない 完結日:2017年12月31日 作者:平沢唯一 評価:★★★★☆ 4.1 物語は『彼女』の一言から始まる。 すべてはそこからだ。 愛していた彼女を宇宙人に寄生され、 生きる理由を失った僕。 それでも平凡で退屈な日常は巡り続ける。 ずっと君は君のままだと思っていた。 変わらない物なんて、 この世界にはないというのに。 話数:全16話 ジャンル:ラブコメ 登場人物 主人公属性 男主人公 職業・種族 未登録 時代:未登録 舞台:未登録 雰囲気:未登録 展開:未登録 その他要素 SF 日常 退廃的 青春ノスタルジー 注意:R15 残酷な描写あり なろうで小説を読む
とても読みやすくて軽快な文章です。しかし、どこか色褪せたような彩りを感じました。メインの宇宙人に乗っ取られた彼女とのストーリーも展開が気になりますが……主人公の周囲にいる友人たちとの日常生活に、退廃した雰囲気を感じました。誰もが過ごした、あの日、あの時の何気ない日常。先の見えない将来、漠然とした不安、それでも何気なく過ごしたあの日々……そんな日常に懐かしさを感じました。そんなノスタルジーな思いを誰もが、共感できると思います。この作品の唯一の欠点は、4万文字しかなく短すぎる事。しかし、逆に言えば短いので読みやすいとも言えます。是非、読んでみてください。
厭世感に満ちた主人公の思考。それはそうであろう。大切にしていた人が死んだのだから。ただ、死んだだけじゃない。彼女は彼女ではないが、『彼女』になったのだ。揺れ動く心は、時には戸惑いを映し出し時には後悔を映し出し時には驚きを映し出す。タイトルにもあるように、感情の機微に長ったらしい説明はいらない。ただ、目の前にあるがごとく、感じるままに。ストレートに気持ちを吐き出し、ストレートに衝突を経験しストレートに読者の胸をノックアウトしてくる作品。この作品のネタバレはしたくない。言葉の海に溺れたくなった時、人のあるがままを感じたい時ぜひ読んでほしい。全てが短い詩的な表現でまとめられており、一つ一つの言葉が貴方の頭に世界に刻み込まれるだろう。きっと、『僕』の世界に触れられるはず。更新頑張ってください
――純文学とラノベ。 それが見事に融合したシンプルでいてお洒落な文体。 簡単な文章で楽に読みたい貴方も、美しい言葉遣いやお洒落な言い回しが好きな貴方も楽しめます。 シンプルで簡素な言い回しの中に、多くの行間が含まれている。楽に読み進められるのに、実は緻密で計算し尽くされた小説。 ――心に残る余韻。 悲恋と哲学、アメリカンな雰囲気を感じるこの小説。 読み終わったあとに残るのは、ブラックホールのような虚無感だ。 ――心臓が揺れ動く。 中編という短い小説で、愛とは人間とは記憶とは何かを考え、そして主人公たちのそれぞれの思惑に心を寄せる。 ――僕は『彼女』を愛せない。 この意味を真に理解した時、感嘆を漏らす。最終話まで読んでください。後悔させません。 ただの悲恋ではありません。これは完璧なトゥルーエンド。 幻想の現代小説に、貴方も浸ってみませんか?
冒頭のプロローグから美しいと思う。 凄く上手いのにカッコつけてない。天才っているんだと思った。言葉の選びが素敵で面白い。 何よりnarouでこの受けにくいタイプの文を書いてこれだけ惹き付けられるのは才能だ。 無駄キャラは一人もいない。全員作品の中で大事な役割がある。 因みに僕は谷口が一番好きだ(笑) ダラダラとせずにこの小説は16話で終わる。 読んでくれ頼む。お願いだ。 この小説は美しい。
宇宙人の体内への侵入を受け、変わってしまった「彼女」。外見は同じでも中身はまるっきり違う。もう、「彼女」を愛することはできない──。「彼女」の行動を追って現れる謎の機関の人物たちに、そして何ら変わりのないはずの友人たちに振り回されながら、ひとり苦悩する主人公の物語です。どうすればもっとましな未来を掴めたのか、掴めるのか。理解不能なペースで回る世界の中で、「僕」は己と「彼女」の救われる道を見出すことができるのか──?五日も過ぎてしまいましたが完結祝のレビューです!その奇抜な物語の流れや風変わりな登場人物を、大きな特徴とする本作。文体も非常に凝っています。韻を大切にした地の文は、まるで詩のよう。夜の街を静かにわたる歌のような美しさと、儚さ、失望と輝き。きっとあなたを虜にするはずです。ちょっと変わったものを読みたい方。読みやすく素敵な、そして不思議な恋のファンタジーは如何ですか?
なんかこう、今までの小説(ネット小説)とは違う。一言で説明するとそうですかね。『彼女』が殺されてから始まる主人公の新たな生活。設定はん?と最初はなるかもしれませんが、読み進めればそんなものはなくなります。言葉ではうまく説明が出来ませんが、自然と読む指が進んでしまう。そんな作品だと思います。多くに方に知ってほしく、レビューを書いてみました。ぜひ。
この小説は、主人公が恋する少女が宇宙人に乗っ取られるなどという、実に荒唐無稽な題材を使いながらも、あまりにも現実を写し出している。ぐちゃぐちゃで、皆不器用で、どうしようもなくどん詰まりだったり、悲しかったり、切なかったり。そんな文章に賛否両論あって然るべきではあるのだが、自分はこの作品は素晴らしいと思える。どうしようもない中に、人間性や、何か人間の苦悩が伝わってくる。テンプレなどというものを吹っ飛ばした、インパクトがあると思う。何かに悩んでいるならば、人間の根っこの部分を見たいならば、読んでみて良い筈だ。
セカイ系というべきでしょうか。退廃的な思考の持ち主である主人公の『僕』は『彼女』を愛していた。しかし突如現れた『宇宙人』に『彼女』は殺されて乗っ取られてしまう。そんな『彼女』と『僕』の物語です。谷口やジョニーなど登場する人物はとても個性的ですが、何よりも個性があふれているのは主人公の『僕』です。現実感のない語り口は飄々としていて、先を読ませたくなります。文章力も構成力も素晴らしく、なろうでも新しい作品です。一読願います。