評価:★★★★☆ 4.4
近未来にて「ワイルド・シミュレータ」という動物の姿になって仮想世界で生活をするゲームが流行していた。
主人公、大崎士郎はサラリーマンとしての生活の傍ら、このゲームで一匹狼のジロウとして第二の人生を謳歌していた。
ある日彼はこのゲームにいるはずのない人間の幼女に遭遇する。
彼女はイデアと名乗り、出会ってすぐにジロウに懐くが彼は困惑する。
そんな彼の前に現実世界でイデアの親衛隊を名乗る上新井京子が現れる。
彼女はイデアがこのゲームを作った社長の一人娘であり、すでに死亡していることを告げる。
ゲーム内のイデアは彼女の脳を使って作られた人工知能だったのだ。
しかし新たに生まれたイデアは記憶を失い人間を恐れていた。
だがこのゲームを一人で純粋に楽しんでいたジロウに対してイデアは初めて懐いたのだ。
これをきっかけにジロウとイデア、そして上新井、三人の冒険が始まる。
話数:全32話
ジャンル:アドベンチャー
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:全年齢対象
物語が進むにつれイデアはたからものによって所謂成長をし、主人公も他の登場人物もまた成長する。それを見ていると、私も頑張りたい、と思える。様々な登場人物の思考や言動によって物語が進む。そのわかりやすさ、滑らかさは折り紙つきだ。特に好きなシーンがある。主人公と松下が下見で飲むシーンだ。あのシーンは読んでいてハラハラした。絶対に松下はキョドるなと、そうしたら予想が的中した。この物語で誰が好きかと問われたら、私は松下、いや、ナチュラルと答える。旅の途中の話(特にひよこをみつける話)ももちろんよかったが、やはり物語を語るにはラストシーンは欠かせない。消えるイデアを見守るシーンは読んでいて、ああ、こういうの好きだな、と手に汗しながら読んだ。それにしても良い設定だ。動物に扮することができる世界で私はどんな動物になりたいのだろうか。狼か、鹿か、それともカメレオンか。なんにせよ良い作品だった。