評価:★★★★☆ 4.2
未曽有の天変地異に襲われた東京都は、サイバネとオカルトが支配する異形の街――【幻幽都市】へと生まれ変わった。
都市の一角で『人殺し以外の事なら何でも請け負う』万屋稼業を営む青年・火門再牙(かもん さいが)は、ある日、獅子原琴美(ししはら ことみ)と名乗る一人の少女と出会う。琴美は、数年前に家族を捨てて行方をくらまし、【幻幽都市】で殺害された父親の足跡を調べるために、東北の田舎を飛び出して都市にやってきたと言う。
彼女の依頼を請けることになった再牙は、調査を進めていく中で、都市壊滅を企む謎の地下組織と、組織を率いる恐るべき能力者の存在を知る。それは、再牙自身がかつて経験した、忘れられぬ因縁との対峙を意味していた。
サイバネ×オカルト×人間模様=魅惑的SF小説!(2018/1/21 『2-1 殺戮遊戯は舞台で踊る①』に、大幅な文章改訂を加えました)
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話数:全60話
ジャンル:異能バトル
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
人が生き、機械が蔓延り、魔が棲まう。技術が栄え、魔術が飛び交う、そこは坩堝。幻幽都市の万屋・火門再牙。訪問者・獅子原琴美から請けた仕事は、“死んだ父の足跡を辿ること”。過去に傷持つ二人の調査は、いつしか都市の根幹へ。都市への悪意が、背負った過去が、二人へ鋭く牙を剥く!魔都と呼び、混沌と擬える。幻幽都市と人の言う。悪鬼が跋扈し、羅刹が蔓延る、それは修羅の場。人が生き、生を営む、それは街並。背徳と仁義、野望と友愛、相半ばするその只中で。過去を背負い、現在を生きる、その眼差しが見るものは。『アナザポリス・リビルド-怪力乱神の未来都市-』求めたるはここにあり。
先日完結済み。文体は三人称。数多くの言葉を駆使して美しい日本語で文章が綴られています。圧巻です。東京は僕たちが知っている都ではなくなった。そこに暮らす都民も、そこに存在していた規律も、今までの法律もなくなった。生まれ変わった東京は日本列島にありながら壁で囲まれ、呪術を化学したアナザポリス。機械的でありながらどこか人の手尽くさなければならない脆さもありそうな、そんな東京を知って欲しいですね。そこに暮らす人々と外界から訪れた少女が万屋と出会い探し求めるもの。その設定も人情味があって面白いストーリーだと思います。登場人物がまた……語り口から存在感まで。どの人物もよく頭に残っています。戦闘描写も緊迫感、スピード感があり引き込まれました。探偵、推理、SF、ミステリ、現代ドラマ、どれが好きでも読めます。この文体にこのストーリーが合っています。とても贅沢な作品です。
圧倒的な語彙力と個性的なネーミングセンスで読者の心を鷲掴みにし、地球一周半の遊覧飛行を末に投げ飛ばして沼に放り込むような、文章の勉強をしたい作家陣にもオススメしたい作品です。普通はなかなか思いつかないその発想力から生まれたワードの数々は雰囲気を演出し、読者をストーリーの舞台となる「幻幽都市」に引き込んでくれるでしょう。たまにはヘビーな読み応えもいかが?
サイバネティクスとオカルトが混ざり合った、と形容するほかない「幻幽都市」を舞台に繰り広げられる物語。 都市のことを知らない少女の視点を用いることで同じ立場の読者にもわかりやすく話を展開し、興味を引きつけつつ物語を広げていくので「ハードルが高いな」と思って敬遠じかちな方でもストレスなく楽しめる。 本作の最大の売りは硬派でありながら疾走感のある文章。こればかりは言葉を尽くしても語りきれない。さっさとこんなレビューページをすっ飛ばして、本編を読むことを推奨する。「最近のなろうには飽きたぜ! もっと歯応えのあるものはねえか!?」と思っているそこのあなたは、是非この作品でぬるくなってしまった血をたぎらせて欲しい。