評価:★★★★☆ 4.1
ローイック・マーベリクは戦争に負けた為、賠償金としてエクセリオン帝国に貢がれてしまった、元侯爵家の次男。
奴隷ではないが平民でもない、国家の持ち物として、ローイックは夢も未来もなく、仕事に追われていた。
そんな時、彼はある少女に出逢った。その少女はキャスリーンと名乗った。ローイックは諦めもつき、ひたすらに書類と戦う日々を過ごしていた。
そんな彼が半年前から配属されたのは、問題児キャスリーン第四皇女率いる第三騎士団だった。構成員が全て女性の中、何故かローイックだけが男性だった。
仕事に打ち込みすぎなローイックとそれを心配するキャスリーン皇女。
そんな皇女も良い年頃。縁談の噂も出始める。
残念な仕事男と皇女様の、のんびりした恋のお話。
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
権力も人権もない、弱くて頼りない文官がだんだんヒーローに見えてくる摩訶不思議な恋愛小説です。身分差・国・体力、いろんな障害が見えるのに、本人たちにはお互いしか見えていません。そんな純粋な「思い」が多くの人たちを動かしていくのです。ローイック、貴方は不思議な人です。こんなヒーローがかつていたでしょうか?この話にはおまけでもう二組の恋愛模様が書かれています。私が好きなのはロレッタ。これは胸に来ました。作者がプレゼントしてくれるお砂糖の世界へ、皆さんもいらっしゃいませんか?
「メンドリが時を告げると国が滅びる」ということわざがある。女が出しゃばるとロクなことにならないと言いたいらしい。失礼なことわざである。 ヒーローはニワトリである。まちがえた、チキンである。ニワトリにすらなれない。人質として、モノとして扱われ、つつかれながらも、思いを寄せる彼女のために、耐えなければならないのだ。 だが、彼はニワトリではない、文官である。そして、「文官には文官の戦い方がある」。一方的に守られるのではなく、守るのでもなく、肩を並べて共に愛するもののために戦えるのなら、怖いものなど何一つない。声の大きさしか誇れるものなどないヤツらなど、庭の隅でミミズをつついていれば良いのだ。 メンドリも愛を告げることが許される世界なら、不可能だって可能になるだろう。ニワトリだって、空を飛ぶのだ。
人質という苦しい立場にあった文官のローイック。そんな彼は、美しく天真爛漫なキャスリーン皇女に恋をします。身分違いの恋に二人は嘆き、苦しみ、距離を置く決断を……といきそうですが、この作品は一味違います。立場に翻弄され、時には苦しい思いをしながらも、絆は決して切れることなく、いつだって二人は明るく楽しくあり続けます。互いを愛しく思うからこそ、身分という壁にもへこたれず、何があってもそばにい続けようとしているのかもしれません。そんな二人が振りまく、あまあまっぷりといったら、作中の登場人物ですらあてられてしまうほどだったりします。そして、もう一組のカップルの恋模様も描かれており、そちらも甘く、ときめいてしまうこと間違いなしです!本編も完結されていらっしゃいます。甘くて温かい最高のハッピーエンドを、ぜひご覧になってください。文官さんならではの戦いもまた必見ですよ!
ヒロインは美しい皇女。 ヒーローは隣国の貴族で人質。 そのふたりの身分を越える恋愛、と言えば、ヒーローは超絶美形、スーパーマンが定番ですが、この作品はそうではない。 ヒーローは冴えない狸である。腕っぷしも弱い。 しかし、かっこいいのであります。 仕事は出来るし、ヒロインのために体も張ります。 作品そのものは甘いお砂糖の香りに満ちていますが、ヒーローが人間としてリアルであるので、深みのある世界になっております。 疲れた時に、脳へ糖分の補給に。 ただし、電車などでの閲覧はご注意を。 ニヤニヤが止まりませんので。
ニヤニヤとハラハラが止まらない。これは恋愛作品というモノにおいて非常に重要なことだと思う。これが只の著者の妄想の産物だと出来上がるのは、気持ち悪い主人公賛美とキャラクターに全然感情移入できない茶番劇になってしまう。恋愛小説とは、ジャンルとしてかなり難しいジャンルであると思うが、この『第3騎士団の文官さん』は私的にはTHE恋愛小説という印象を与えられる。戦利品とされてしまった主人公ローレックと当事国の姫であるキャスリーン、この2人に立ちはだかる壁は多いが、その壁こそが『ニヤニヤとハラハラ』という最高の状況を演出してくれていると感じる。起爆剤であるロレッタの登場のタイミングの上手さは素直に著者のセンスに脱帽である。古典的で、だからこそ引き込まれる。この『第3騎士団の文官さん』は私にとってはそういう作品だ。あなたもモニターの前で、ニヤニヤとハラハラしてみませんか?