評価:★★★★☆ 4.1
余命僅かな森須淳は神界のイザーダ神に呼ばれ、異世界で生きる事を選択した。そこはかつて、従弟の快が召喚された世界。 快から譲られた物は『小さな剣』と『指輪』そして『石ころテント』だった。 淳はイザーダの世界で生きる道を探す旅に出る事になる。 異世界の片隅で穏やかに暮らせる場所を探す主人公と、彼を見守る周りの人たちの思いが交差する時、彼の居場所は見つかるのだが……。 図らずも後世に名を残す事になってしまう、主人公と仲間たちの優しい異世界物語。
話数:全128話
ジャンル:料理モノ
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
ファンタジーと一口に言っても、書く人間は千差万別。一人一人に独特の世界観があり、その数だけ物語が存在する。面白さも多種多様というわけだ。それを踏まえてこの作品を読むに、きっとあなたはえも言われぬ魅力に夢中になることだろう。古今東西の名作に通ずる、完璧なまでに構築された世界が、主人公ジュン・モーリスの手で紹介されていく。それは通貨であったり、ギルドであったり、魔法の数々であったり…。特にこだわりを持って描かれているのは食事だ。「飯テロか?」と作者の真意を疑ってしまうほど、読者の空腹を刺激する数多の料理描写はきめ細かい。読んでいる最中、登場人物たちを何度うらやんだことか。ジュンの転生から始まる物語は、タイトルにもある石ころテント(欲しい!)を相棒に波乱万丈に富んだものとなる。新たな人生を歩むジュンを待つのはどんな事件か? ぜひあなたの目で確かめてほしい。きっと素敵な旅が待っているはずだ。
淳が快との、短いようで実は長い時の溝を埋めるが如く、まさかの快の子孫達の力を借りて成長してゆく見事な二段階の物語構造に驚愕でした!転生することによる正の部分と負の部分の両方に目を向け、その上で人は一体何を感じて何をすべきと考えるのかを教えてくれる作品になっています。ネーミングセンスや所々に挟まれる淳の心境も注目です。