評価:★★★★★ 4.5
無法都市を舞台にした、オムニバス形式の物語です。野獣マルコと戦士ギブソンのコンビが主人公の『野獣』シリーズが主軸ですが、その合間に時代、主人公、登場人物がバラバラな短編が入ります。共通点はエメラルド・シティが舞台であるという点のみですが……時おり、あちこちの章に登場する人物もいます。『ソルジャー・ブルー』、『エメラルドシティの三人』の外伝・続編的なストーリーでもあります。
話数:全76話
ジャンル:異能バトル
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
「エメラルドシティ」シリーズの最新作にして、筆者である赤井氏の傑作ここにあり。今作は短編を掲載することで、これまで描いてこなかったこの街の住人達の魅力を描き出しています。どんなキャラにもそれぞれの事情があり、生きる為に綺麗事を言ってなどいられない。赤井氏の得意のハードで容赦の無いバイオレンスな話もあれば、まさかの癒し系ストーリーまで(笑)読んだ感想は――おのれ、面白いじゃないか。ギャップにやられてしまいました。という感じで、実験的な試みの話もあります。そんな中でキーパーソンとなる二人組。彼らがこの外法の街にどう関わっていくのか?そして、どう成長していくのか?これがシリーズ初見でも全然大丈夫♪これをキッカケに貴方もエメラルドシティに来てみてはどうでしょうか?もっとも……身の安全は保証致しかねますが。
『エメラルドシティ』と言うのは物語の舞台となる街の名前になるのですが、その後に来る『闇にきらめく宝石の街』って言葉が、大人の雰囲気が漂うクールで渋い言葉であると感じています。ちなみに皆さん、この『闇にきらめく宝石の街』って言葉を読んで、どんな登場人物を想像しますか?世界を想像しますか?物語を想像しますか?おそらく今あなたが想像したような世界や物語が、このタイトルの先から広がっています。危険だけど何故か人々を魅了する街、エメラルドシティ。基本的には苦悩を抱え殺し屋となった二人の男の視点で物語は進むのですが、所々二人とは全く接点のない人々の話が短編で挿入されており、それによってこのエメラルドシティの魅力を別角度からも味わうことが出来るようになっておりますデス。
廃退的でダークな雰囲気が漂う世界観……それを的確に読者の脳裏に想像させる文才力。この作品はまさしく世界観とストーリー……そして、作品がまとっている風味と作品から溢れる香りを楽しむ、大人の作品だと思います。一文字、一文字、吸い込まれるようにしっかりと読んでしまう作品。全てが秀逸だと思います。是非、皆様も読んでみてください、お勧めします!