彼女の笑顔

完結作のヒューマンドラマ。隠れた名作です。登場人物はファンタジー的な女子高生ではありません。心理描写にリアリティがあります。本編前半はクールな女子高生の、教師に対する感情の変化。青春の甘酸っぱい気持ちになっていたら……構成のからくりの罠に、見事にかかりました。この作品。読者の感情を誘導することに優れています。誰もが「はじめてのきもち」に共感できるはず。恋愛の先の、女子高生の友情の物語。「深い赤のブレスレットが燃えるように光る」この感情の美しさを、たくさんの方と共有したいです。

友情物語って、どこか男の子の物だと思っているところありませんか？ 僕にはありました。 友情と言えば男の子、恋愛と言えば女の子。みたいな、刷り込みのような偏見が。 男の子にも負けない。もしかしたら男同士の友情がチンケに見えてしまうほど、彼女達の友情は根深く生え、細かく編み込まれています。出来た模様は、もしかしたら「友達」では言葉が足りないかもしれません。 かっこいいセリフを吐くような浅いモノではなく、考えて考えて悩んで悩んで、すれ違いながらも行動と思慮で示される絆は、ダイヤモンドよりも綺麗で硬いものでしょう。 うまく構成された物語に、もう一度読みたくなる魅力がありました。同時に、同じ書く者として悔しくもなりました。おもしろいから。 良いものをありがとう。たくさんの人にすすめたいと思います。