吾輩が、猫ですかっ？！　～幸せは猫とともに～

『我が輩が、猫ですか？！～幸せは猫とともに～』は、青年が神の力で猫の体に乗り移る小説である。物語の端緒をまとめるとざっとこのように表すことができ、そこだけ切り取ればドタバタコメディーを想像してもなんらおかしくはない。だが、題名に反して物語は重いものである。読んでいる最中は、胴体に重りを熨し掛けられているような感覚になるかもしれない。「現実世界でも厳しい思いに苛まれているのに、どうして本を読み耽る時にまで辛い思いをしなければならないのか」そう考えるかもしれない。実は、斯くの如く書いた私もその一人である。でも、だからこそ言いたい。目を背けずに最後まで読んでほしい、と。なぜなら、読後には重さや暗さを補って余りある感覚があなたを包んでくれるはずだから。その感覚の名は『希望』。この二文字は、あなたを救ってくれるだろう。この物語は、重さがあるからこそ『希望』が際立つ作品である。

このお話の面白いところは、主人公が猫の姿になることで、周囲の人間関係に変化を与えたり、良い方へ導く鍵にもなっていくところです。過去の傷を乗り越えて変わっていくヒロイン・柊を見守る中で、主人公の考えも変わっていきます。会社に縛られる毎日や、周りに合わせて自分を殺し続けるより、もっと良い生き方があるのではないか。読んでいる私たちもそう思えてきます。猫になって、人の足もとをすり抜けて自由に動き回れるようになったら。猫になって、有り余るほどの時間を手に入れたら。あなたなら、どうしますか。

主人公のアラサー男子はある女子高生の飼い猫となり、できることが極端に制限された中で神からのミッションを負うことになるのだが、自分さえ頑張ればどうにかなるものではない問題に対して、猫の身で奮闘を見せる。 シニカルな彼と、めんどくさい属性を香らせる女子高生ヒロインを、それでも目で追い続けたくなる。 それは彼らが心のどこかで「人を信じる」「人は尊い」という思いを抱き締めているからだと思う。 特にヒロインは、回を追うごとに魅力的になっていく。 他人に対して突っ張っているようでいて、彼らは、自分の辛さは限界まで我慢できても、目の前の人の不幸には耐えられない。 それぞれに抱えた事情の中で頑張り続ける登場人物たちの、不思議だけど血の通ったストーリー。 舞台は、私たちも住む現世。 冷たい雨の降るこの世界で、時には憎まれ口を叩きつつ、その手は傘を差し出し合うような、温かみに触れて欲しい。

おっさんがししゃも(猫)となって神様の試練を乗り越える。皆（登場人物）が様々なことを抱えている。その事を言葉巧みに紡いでいる作品。そのことが少し重いかもしれないけど、きちんと解決策はあるからハピエンですよ！そういった暗闇から光を見出す言葉たちの配置が絶妙で、ついつい感情移入してしまいます。現在連載はついに最終章を迎えています！！どのような結末を迎えるのか期待しています！みんなも読んでみよう？

ブラック企業に勤める明智は社畜と呼ばれる存在であった。毎日、疲れ果てて家に帰ると倒れ込むような生活をしていたのである。そんなある日、彼は目が覚めると猫になっていたのだ。あまりの状況に困惑していた彼に、神と名乗る存在が語りかける。飼い主である立花柊に関するミッションを成功させることができたら人間に戻してやろう、と。そして彼の猫としての生活が始まったのだ。立花柊は不登校で引きこもりであった。始めのミッションは彼女を家から出すことだったのである。猫の体駆使して難関に挑む彼の活躍に期待だ！