信長のいない世界 完結日:2018年1月15日 作者:神奈いです 評価:★★★★☆ 4.1信長がいない世界で今川家は数年かけてやっと尾張を統一しました。そして。 話数:全46話 ジャンル: 登場人物 主人公属性 未登録 職業・種族 未登録 時代:未登録 舞台:未登録 雰囲気:未登録 展開:未登録 その他要素 ifモノ ほのぼの 和風 敵はアメリカ 日常 注意:R15 なろうで小説を読む
この物語には、分かりやすいチートも転生もありません。しかし、ただ一人の大人物がいないだけで、世界の情勢はこうも変わってしまう。そうした思考実験のような面白さがあります。ハッタリのようでいてどこか整合性が取れている。荒唐無稽なようで異様な生々しさがある、他に類を見ない作品です。バタフライエフェクトよろしく、進めば進むほど良い意味でメチャクチャになっていく物語をご覧ください。
信長がいないとこうなる。ちょっと想像したくない歴史IFに果敢に挑んでいるのがこの作。どうなることかと思って読んでみれば元々人に気を遣う体質が生まれつきの家康、今川・北条・武田の間を飛び回ってもうへとへとです。英雄と言うよりは管理職。信長みたいなワンマン経営者っていると疲れるけどいないともっと疲れると痛感。 しかし地道な家康の持ち味はじわじわとその存在感を増していくこと。史実の家康と同じく重たーい荷物を背負いに背負って、さらに最新話ではお隣の大国明とも絡んで。日本惣無事、天下人への道をまい進していきます。経営者なのに一番大変。まさにワンオペ家康。しかしニッポンの働く男の鑑。これこそ本当の英雄譚ではないでしょうか!
戦国時代を代表するのが三英傑。なぜ三英傑か。答えはこの作品を見ればわかります。三人も英傑が揃わなければ終わりが見えなかったのです。それくらい戦国時代は泥沼だったのです。そんな当時の事情に読んでいてはっと気づかされます。天下餅、徳川家康1人でついてこねて食べられるのでしょうか。その答えを見つけるためにも、ぜひ御一読ください。
飯マズの条件にアレンジしたがるというのがあります。レシピを無視して「こうすればもっと美味しくなる」と経験も根拠もない確信であれこれと調味料を足し算するタイプですね。基本がなってないので素材も駄目になります。主人公は松平元康。基本に忠実であり、かつ経験豊富な作者様が、まさかの引き算から話を始められます。タイトル通りの世界において、主人公は史実以上に七転八倒しながら「なぜこうなった!」と叫びます。その理由は元のレシピである史実を知る読者だけが知っています。レシピをより深く理解していれば、その分だけ楽しむ幅が増える作品ですが、ここに素材の特性を知り尽くした経験豊富な作者様のバランス感覚が光ります。どこかコミカルでありながら本格派、主人公以外のキャラクターも、元の素材を十二分に生かしつつ、見事な調理がなされています。タイトルと重なりますが「信長のいない世界」をぜひご堪能ください。