評価:★★★★☆ 4.2
19歳の誕生日から3日後の夜,プロフィギュアスケーター灰田那月は殺された。
世間的には,灰田那月は行方不明ということになっている。
灰田那月の恋人と名乗る記者山瀬高信は,事件の真相を知るために,灰田と同期の選手や関係者に事情を聴取する。
灰田那月を殺したのは一体誰か。
話数:全10話
ジャンル:
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:全年齢対象
完結日:2018年1月14日
作者:菱川あいず
この小説に(作品上の)嘘は無い。粗筋の通りに物語は進むし、関係者の供述も事実と捉えてもらって構わない。 全ては文字通り。 なのに、騙される。 特筆すべきは後半の展開だろうか。 『球体に光を当て、円形に見せかけること。円形に影を見いだし、球体を証明する事』 前者はトリックを、後者はロジックを、共に言い表したミステリの基本とも言える言葉である。 しかしながら今作において作者さんは、いろんな角度から光を当てている。 それで出来た影とのコントラストでもって真相を描き出すのだ。 誰が?何故?どうやって?その全てが明かされる。 それは決して球体などでは無い。何処か歪な多面体である。 だからこそ惹かれる。ダイヤは58面体にカットされるからこそ輝くのだと思い知らされる。 全ては文字通り。 だから、騙される。 妖しく輝く多面体のミステリ。事実の裏の真相をとくと御堪能あれ。
プロフィギュアスケーター灰田那月が殺された。次から次へと出てくる容疑者候補。全員が全員で怪しく、きっと読んでいる方は犯人は誰かを必死に推理しながら読むでしょう。そして、真相を知った時、「やられた」と感じるはずです。気づいた時にはもう一度読み返していることでしょう。そして、最初に読んだ時には気づかない文章に隠されたギミックを体感しているはずです。このレビューを読んだだけでは何を言っているのかわからないと思います。ぜひ、ご一読してみてください!
ミステリーにとって重要なこと。それは、読者を最後まで、真相に辿りつかせないこと。拡がった伏線が最後に収束してくること。 そんな、どちらも見事に捉えきった秀作ミステリーを見つけました。 このミステリーのヒロインを殺したのは誰なのか? 話が進む毎に、犯人像は拡大していくばかり。 叙述トリックも、最後の最後まで生きているので、最終話まで期待を裏切られることはないでしょう。 ラストシーンは、作者さまの優しさなのでしょう。 殺人という重いテーマにもかかわらず、暖かさが添えられているのも、またお見事。